アンテナ

 あるマウスのオスの話。メスを見ればみさかいなく性行動を起こすマウスと一夫一妻を守るマウスがいるらしい。
 で、彼らを調べたら、頭のなかの薬物中毒に関係するところがあって、そこの、ごくごくちっちゃなアンテナみたいなのが、あるかないか、によって、その行動が決まることが分かった。一夫一妻のマウスにはそれがあり、一方のマウスにはそれがないという。


 それだけでなく、そのアンテナを取ったり、植えつけたりすると、なんと行動が逆転するというから驚きだね。つまり誠実なマウスからアンテナを取ると、みさかいなくHするマウスに、みさかいなくHするマウスにアンテナを埋め込むと、院長みたいな誠実なマウスになるらしい。
 この研究、社会性ということで自閉症や、ヒトの行動の社会性の解明にもつながるかもしれないという。
 ただそのアンテナを作るのがただ一つの遺伝子ってことらしく、その点は研究者ならずとも気になることだよね。ヒトの行動がひとつの遺伝子で決定されては、たまんないものね。
院長  「男の行動がひとつの遺伝子なんかで決まるわけない」
スタッフ「そうですよね」
院長  「最低、二つは必要」
スタッフ「……そうですかぁ」
院長  「アンテナの遺伝子と」
スタッフ「と……」
院長  「それをオンオフにする遺伝子」
スタッフ「…世の殿方、マウス以下ですね」

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