「コード・ブレーカー」

上下巻からなる「コード・ブレーカー」(ウォルター・アイザックソン著)の上巻だけ読み終えた。
本を手にしたのは、遺伝子操作を容易にするクリスパー技術についての院長の生半可な知識を補強できればいいとの思いがあったからだ。

院長の脳内のDNAが正常に作動しているなら、現状の理解はこうだ。
細菌はウイルスに対しある防御機構を持っている。その根幹をなしているのは、DNAやRNAの持つとても強力な相補性にあり、特殊なRNAの立体的な構造を利用して侵入してくるウイルスのDNAを切断している。

だがこれだけではとても味気ない。
熱いスープの料理にたとえてみると、ふうふうと口をすぼめながら食べる料理にはほど遠く、まだ低温のお湯のままで、これからいろんな具材を入れようとする段階だ。

どんな手順で具材を扱えば料理はできあがるのか、プロの料理人のようなものができなくても似たようなものができるようになればいいとの思いがあった。

だが、少なくとも上巻で主に述べられていたのは、多くはどこでどんな具材を買い、それで使ったがうまく料理できなかったとか、だれかが違う材料でやってみたができたとにか、できなかったなど、料理自体の歴史本になっているな気がする。

せっかくだから改めてクリスパーキャス9についてネットで調べてみると、完全に理解するには手持ちの具材がかなり足りないことが分かった。
でもよく考えると、いまから先、残された人生で、きっとその料理を作ることはなく、かつ料理が出来上がるまでに、きっと大やけどを負うような気がする。

ということで、上巻で早々に切り上げようかと思っている。料理ができる前からふうふうと読み続けるものなんだし。