いくらみすぼらしい行人のような院長が差し出したからといって、そんなに怪しむことはない。
それは間違いなく法定通貨D券で、いわゆる本物の1000円札だ。
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小粒
我が家の食卓にはときどき衣がついた牡蠣フライが出てくる。
スーパーの出来合いのものだが、購入者がカミさんともなれば、なにか不都合があってもそうそうに文句はいえない。
たとえば、どう考えても衣に包まれた牡蠣が小粒のときだ。
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「インドラネット」(桐野夏生 著)
桃から生まれた桃太郎が鬼ヶ島に行きました。そして、はい、どうなったでしょうか?
物語を知らなくても、これならなんとなく結末を想像できる。なんだったら違う終わり方のお話だってすぐに思い浮かべられるだろう。
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営業センス
m3という医者を対象にしたサイトがある。なかなか公にできないような医者の愚痴をこぼすフリーメイソンのような医者苦組合的な要素があるかと思えば、診療に役立つ医療情報が転がっていたりと内容は豊富で面白く目を通さない日はない。
そのm3から先日メールが届いたのに気づいたのは朝、診察室に入り机のパソコンを起動させたときだった。
「医療の2025年問題の対策はお済みですか?」と題した4分あまりの動画の紹介だった。
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後
Copilotにこんな質問をしてみた。
「ゴールを目指し、遅くついた方が勝者になるという競技があるとします。もちろん競技は進行しないと思いますが、終わらせるアイデアはありますか?」
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「ヘッドライト、テールライト」
連休もあって夕方からテレビを見ながらビールを飲んだ。
ふと国営放送で流れていた中島みゆきの曲、「ヘッドライト、テールライト」に魅了され、そのあとYouTubeで数えきれないほど聴き入ってしまった。
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「泥の河」
「小説”泥の河”の碑が近くにある」4月から大阪の土井堀川近くでひとりで生活することになった高三の息子がそう語った。太宰治賞を獲得した宮田輝の作品だという。
知らなかったのでネットで取り寄せ読んでみた。
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此の世の果ての殺人(荒木 あかね 著)
今年の江戸川乱歩賞を受賞した作品だ。本の最後にある審査員の方々のような講評などもちろんできないので、内容を少し紹介するにとどめたい。
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愚か者
愚かなことを繰り返してきた人生だが、これほど愚かなことはない。
パスポートのことではない。帰国の途についていた釜山の空港で、パスポートをホテルに忘れたきたことなど、比べ物にならない。
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老い
久しぶりに先月、ギターを手に、恥を心に抱いてステージになった。
間違えそうなところは完璧にごまかし、間違えたところは完璧に間違えた、完璧な演奏だったと自負している。
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