釜山

高校二年生の双子の君たち、釜山は楽しかったね。なによりも君たちが積極的に英語を使って人に語りかけようとしている姿を見てると、ママが旅費をやりくりするために、父さんの小遣いが削られていたことが報われる気がした。

日本の終戦記念日は韓国の独立記念日。父さんは普段の盆の過ごし方とは違ってより戦争というものを考える日々だったけど君たちはどうだった?
いろいろあるけど、一つだけメモしておこう。君たちも近い将来じっくり考えてみて欲しい。

原爆だ。随分前に一緒に広島と長崎の原爆記念館に行ったよね。そしてその原爆の酷さ惨さを如実に感じたよね。

でも父さんはずっと感じているんだ。戦争で使われる武器に酷くないものってあるのかなって。

例えばだよ、あっという間に人が消えてしまうような武器、それも水爆と同じような規模で人消えてしまう、つまり殺されるような武器があったらどうなんだろう。いわばクリーンウェポンだ。

人類はそのクリーンな武器を使うことに、極めて慎重になるだろうね。だって誰かが使えば”自分”も消えてしまうからだ。

結局、本質的なところは、極めて利己的な利益でその武器の使用に反対しているというのが、世の風潮じゃないのかな。

あらゆる武器は程度の差こそあれ、すべて残酷で愚かなんだ、父さんは心からそう思う。ぜひ考えてくれ。

あ、そうそう、no more Hirosima じゃなく no more Hirosima’s だからね、間違えるなよな。