受診

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 米国のボストン市で、同市を根拠地とする野球チームRedSoxの試合と救急外来を受診する患者の数の関係を調査したところ、同チームの勝敗と受診数の間に関係があることが分かった。
 リーグ決定戦とワールドシリーズの間の救急外来の受診数は、RedSoxが負けたときには受診数は通常の数より15%増えていたが、勝ったときには通常の5%ほどしかいなかった。
 これをそのときのテレビの野球視聴率と比較すると逆の相関関係、つまり視聴率が高いと受診数が減り、低いと高いという傾向が見られたという。


 この事実をどう解釈するべきだろうか。たとえば応援のため外出を控えた結果、交通事故が減ったという可能性もある。
 だが急病であるにも関わらず患者は我慢してRedSoxを応援していたという見方の方が自然だろう。個人的な救急医療の経験もそちらの方に分があると訴えている。
 患者というのは、ある意味わがままなものなのだ。
 
 少年院長もそうだった。中学生のとき家の前にある医院に夜中、受診したことがある。それも朝方に近い深夜だった。具合を訊かれたので、昨日の昼から熱があると少年院長は答えた。
 どうして早く来なかったのかと医者はなかば怒りながら質問する。
 いわば家庭医で、その気軽さもあったのかもしれない。でも確かにそうなのだ。医者をやってる今だからこそ分かるが、夜中というのは誰でも眠いのだ。
 だからその質問にはやはり遠慮がちな答えがふさわしい。だが、少年院長は別の答えを用意していた。
 いわく、「こちらも都合があるんです」
 実はこうしてメモしているが、このお話の記憶は全くない。
 知ったのは地元でクリニックを開業した年の医師会旅行のときだ。その家庭医も参加されていて、夜の宴会の場で面と向かってこの思い出話をじっくりと聞かされたのだ。
院長 「昼間に受診しようと思ってました」
家庭医「なぜ遅くに来たのかね」
院長 「I wanted to go」
家庭医「うん?」
院長 「I wanted 都合」
家庭医「うん?」

 その場でハ、ハァーとひれ伏しました。マジ、冷や汗ものだったス。
ネタ元
When Red Sox Win, Emergency Room Visits Dip

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