四角い切り取られた空間がある。そこから空が見える。青い空だ。雲も見える。ゆっくり動いていた。
連休に訪れた「21世紀美術館」にある、20メート四方の何もない部屋の天井に切り抜かれた”展示物”だ。

なにかを感じさせなければ、それは芸術ではないと思う。もしそうでなければ、たとえばこの部屋はあからさまな欠陥を持った建築物以外なにものでもない。
そしてその感覚をなんらかの思考に結びつけることに成功すれば、それはすぐれた芸術というのだろう。

それはひとそれぞれに違いない。それはひらめきかもしれないし、にじみ出るような大きな塊かもしれない。
図形の問題に悩む人、雲の成り立ちを知りたい人、空の青さの不思議に魅入られた人、人生に生き詰まった人、逆に希望にあふれる時期にある人、それぞれの人の思考はさまざまだろう。

みせかけの平和のなかにいるものとして、砲弾が飛びかわない空はあるのだろうか、と思う。