奥林匹克

中国語でオリンピックを奥林匹克と書くらしい。似たような発音の当て字で、似たような容貌の院長を横浜流星と呼ぶようなものだろう。
そのオリンピックの開会式を見てとても感動した。院長が中国に生まれていたら、「ああ、この国に生まれてきてよかった」と思ったに違いないようなすばらしい、まさに国威発揚の演出だった。

でもふと頭をよぎった言葉がある。第二次大戦直前のドイツで、架空の日本人スパイが暗躍する小説「ラストワルツ」のなかに出てくるものだ。
「ベルリン大会以前はオリンピックはいかなる意味においてもアマチュアスポーツの祭典であり、国際政治の場においてとりあげられるなどおよそ考えられぬマイナーイベントだった。
ナチスはそのオリンピックを徹底的に利用した」

もちろん本を見ながら写したもので、そのままこの文言をそらんじたなら、なんらかのオリンピックに出ていたはずだ。

「ラストワルツ」の作家、柳公司さんに興味を抱き始めたのは、国と個人との間に生じる軋轢や矛盾をモチーフにした、”時代”小説、「アンブレイカブル」だった。引用した表現も彼のそうした視点が入っているかもしれないが、ほかの著書でも見られる緻密な情報をもとに描かれるストーリーを見ると、きっと間違いないものだろう。。

そんなこんなを考えていると、さらに頭をよぎることがあった。今度ははっきりとした情景だ。

奥林匹克・・・ひょっとして林の奥で一匹、じっとこちらを窺っているのは、熊のプーさん?