渡り鳥

 渡り鳥の話を初めて聞いたのはいつのことか覚えていないが、その行動にあこがれを抱いた記憶はある。移動に伴う苦労があるとはいえ、いつも快適な生活ができるなんて素敵ではないか。大人になったら渡り鳥のように夏は涼しい高原へ冬は暖かい南の海へ出かけるのだと心密かに誓ったものだ。
 だがその思いは怠惰な生活へのあこがれに過ぎなかった。気づくのが50年遅かった。おかげで人生をさまよい歩き、お天道さまのいう通りに汗をかかねばならない生活を送っている。
 その渡り鳥が奇妙な行動を取っている。


 夏場を北欧で過ごした渡り鳥の話だ。冬場は暖かいアフリカを目指して南に向かって下っていくはずなのに現在英国で進行中の追跡調査ではどうも南下していないらしいのだ。
 きっと、ナンカおかしいという思いが研究者の胸にあったのだろう、それが見事に的中したわけだ。
 1000人以上のバードウォチャーからの報告では昨年は本来アフリカへと向かうはずの11種の鳥が英国で観察されている。
 その理由の一つとして地球温暖化が考えられるという。つまり北欧の冬の気候が緩み、暖かいところに行かなくても繁殖できるようになった可能性があるのだ。
 ましてやアフリカでは雨量が減少し砂漠化が進行しており、わざわざそこへ向けて旅立つリスクを負わなくてもいいというわけだ。あるいは鳥たちの食料事情も関係しているかもしれない。気温が一度あがることに鳥のエサとなる虫たちは六日も早く飛び回るのだ。長丁場の旅ではとてもタイミングをあわせるのが難しい事態になっている。
 こうしたネタ元を読む限りでは確かに温暖化との関連が大いに考えられるだろう。だが本当にそれだけが原因なのだろうか。
スタッフ「というと」
院長  「院長と同じ思いを抱き始めた可能性はないだろうか」
スタッフ「というと」
院長  「あくせくするのがアホらしいと思い始めたのではないだろうか」
スタッフ「またバカバカしいことを」
院長  「そう。もうくだらないと思い始めたのではないのだろうか」
スタッフ「…」

ネタ元
Are Some Birds Not Flying South Due to Warming?

“渡り鳥” への2件の返信

  1. 今日は渡り鳥の様に旅をしてきましたが、結局は暖かい“愛の巣”に戻って来ました。

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