クジャク

父「クジャクの羽は、どうしてあんなに大きいの?」
子「それはね、オスがメスに気に入られるように、がんばったんだよ」
 たった今もこの広い世界のどこかで、クジャクに関するこうした会話が間違いなく行われているはずだ。
 でも、お父さん、それは違うのよ。実はこんなデータが出たみたいで。


 日本の研究者が、クジャクの「飾り羽の長さや左右対称性、羽を揺する頻度や強さ、オスの縄張りの広さや位置などと交尾行動との相関を調べたが、全く無関係だった」らしい。
 もしそうだとしたら、ちょっと待ってよってのが実感、なんだけど。
 だって進化のお話のなかで、頻繁に登場するクジャクさんでしょ。一体今までのお話の根拠はなんだったの?
 とはいえ、同じような話が医療業界でもある。
 サルノコシカケというキノコから作られた薬があったんだけど、これが癌に効くということで、75年頃から使われ出した。それも、食卓には味の素があるように、癌治療にはこの薬ってカンジで処方されていった。
 で、もう一度効果を見ようと90年頃にお役所が調べてみると、なんと癌への効果はないってことになったのね。
 この業界では有名な話で、ほかにも同じ時期に似たような経過の薬がある。
 ともにそれほど大騒ぎされず、業界から消えていってしまった。マスコミにも取り上げられたもののその引き際といったら、夜遅く院長が帰宅するときの足運びにも似て、静かすぎるほどのものだった。
 その間の製薬会社のもうけはン千億円なりで、このいきさつにはきっと政治が絡んでいる、とにらんでいるんだけど、それはさておき、効果があるもと信じてそうした薬を使ったことのあるものとしては、どう反省をしていいのやら。
 副作用がなかったのだけは、救いだけど。
子「えっ!クジャクの話、、もうみんなに教えちゃったよ」
父「科学というのは、そんなものなんだよ」
子「どういうこと?」
父「今まで正しいと信じられてたものがが、あるとき違うことが分かることもある」
子「そうなの」
父「でもね、まだその話のウソホントは、ギクシャクしてるみたいなの」
子「そうなの」
父「だから静かにしてれば、どちらにしても忘れられるよ」
子「分かった。疑クジャクした話だと、みんなに静かにいうね」
父「いじめられるなよ」

ってなことメモっても、贖罪にはならないか。

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