止血

 幼い頃、ケガをすると祖母がツバをつけてくれたものだ。汚いと思う間もなく、ぺっと吐かれたツバが傷口につけられる。祖母の手は孫に痛みを感じさせない程度にやさしく、そしてゆっくりと時間をかけて傷口をなで続ける。すると不思議なことに出ていた血が止まるのだ。


 だがそんなことをしなくてもすぐに血を止める方法が登場するかもしれない。MITの研究者らがナノテクノロジーを用いて開発しているものだが、ネタ元を読むと、どうも止血のための研究をやっていたということではないようだ。
 彼らがやっていたのは神経の再生について研究だ。
 ペプチドというタンパク質の小さな破片が混ざり合った溶液を脳の損傷を受けたハムスターの脳内に入れると機能が回復したという彼らの研究が公表されている。”ちょうど花の花弁が開くように”ペプチドが結合し合って直径10nmのペプチドナノ繊維を作り、それが神経細胞が再生するための足組を作るのだという。
 詳しい説明は下のリンク先にあるが、彼らはこの溶液に止血作用があることを見いだしたということのようだ。
「15秒以内に出血を止める方法を見つけました。止血の革命をもたらすかもしれません」とは研究者らの弁だ。だがこの液を用いた止血の仕組みはどうもはっきりしないという。
 もともと血が止まる仕組みというのは複雑で、さらなる研究が必要だろうということらしい。
 研究者らもいっているように、これが実用化されれば手術に革命をもたらすかもしれない。手術とはある意味、血を止める作業の繰り返しでもある。出血の場所を確認しては電気メスで焼いたり、鉗子でつまんで糸で縛ったりの繰り返しなのだ。
 ネタ元では手術にかかる時間の50%は止血に要する時間で占められていると述べられているほどである。
 もしこの溶液が現場に登場すれば手術時間も大幅に短縮されるだろう。手術における文明開化、明治維新だ。まさに無血革命といえよう。
 だが15秒で止めるというのはいささかオーバーな表現ではないだろうか。
 手術中の出血というのはいろんなタイプがある。じわじわにじみ出てくるような出血から、小さな血管からピューと血が噴き出すもの、あるいは大きな血管からドバッと出てくるものまでさまざまだ。
 だから血が止まるとはいえ15秒という時間にはいささか疑問を抱く。この表現には無理があるのではないだろうか。
スタッフ「まゆツバをつけているんですね」
院長  「そうそう」
スタッフ「だから時間がかかるんじゃないかと」
院長  「ゆっくりなでまわさないと血は止まらないからね」

脳神経の再生を助けるナノ繊維
ネタ元
Self-assembling gel stops bleeding in seconds

“止血” への2件の返信

  1. 難しい話はよく分かりませんが、私の脳の神経細胞もなんとかならないでしょうかね?

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