果糖

　禁断の甘い果実
　考えてみて欲しい。甘いもの、それが禁止されているのだ。それも甘ーい果実だぞ。
トロトロに熟したメロンでもいい。みずみずしいビワでもいい。それに手を出したくても出せないのだ。欲しくて欲しくてたまらない。
　とても悩ましいじゃないか。

　もっとも、もっと違う意味があると風のうわさに聞いたことがある。その真実を知らぬまま年を取ってしまった。
　それでいいと思っていた矢先、今また、甘い果実の話題が飛び込んできた。
　問題は果実のなかにある果糖だ。これを摂ると太るという米国でのマウスを使ったデータがあったのだ。
　最初平均３９ｇだったのが果糖を含んだ水をやった群は４８ｇになり、そうじゃない群は４４ｇになるにとどまった。水だけやった群と比較すると脂肪が９０％も増えていた。
　果糖を含んだ群がほかの群に比べてカロリーをたくさん摂っていたのなら分かる。でも全体のカロリーは、果糖を含んだ水を飲んだ群の方が、そうじゃない群に比べて少なかったのだ。
　どうもブドウ糖のような糖質を摂ったときに体のなかで起こるいろんなホルモンの反応が、果糖のときにはないということや、果糖の代謝がほかの糖質とどうも違うということが関係しているらしい。
　どうだろう。トロトロでみずみずしいあの果実やこの果実を口にすることは、禁断の領域に足を入れることだとご理解いただけただろうか。
　それは職場の上司とＯＬの不倫に似ている。いや幼い生徒と教師の恋だろうか。それとも人妻と力仕事をする人夫とのつらい逢瀬だろうか。力仕事をする人妻と人夫との忍ぶ愛かもしれない。
　いずれにしても相手が欲しくて欲しくてたまらない、あの悩ましい愛憎劇に酷似している。
　だがそれは人として許されないのだ。
　それでも果実を手にしようというのか。
　って、なんで禁断の甘い果実を説明できるのか、自分でも不思議だ。

（注）ネタ元ではソフトドリンクのなかの甘味料、とりわけ果糖を多く含むコーンシロップについて調べている。このシロップは蔗糖に似ていて、蔗糖というのはそもそもブドウ糖と果糖のそれぞれ半分ずつで構成されているもので、結局果糖について調べた研究になっている…みたい。
ネタ元
Research May Provide New Link Between Soft Drinks And Weight Gain