月地震

moonquate

 さきほど山の端に浮かぶ丸い月を観てふと思った。
 ああ、あの青白い輝きは太陽の輝きなのだ。あの球体はほかの天体の力を借りずにはその存在を人に知らしめることができないのだ。そう考えるとなぜだか今の自分に姿を重ねてしまった。
 なにがというわけではない。そこそこ自立した生活を送っているはずだが、そう思う。人生の輝きを失いかけていることへのあせりなのだろうか。なにか自省できるかもしれないので、しばらくこのまま続けてみる。


 
 とはいうものの、ものは考えようだ。あの球体はきっとみずから空気や重力やその輝きを放棄したのだ。小さく固まることでそれらを引き留める力をなくしてしまった。だがその代わりに凛とした姿を得ることができた。そうしたものとしての天空の位置を選んだのだ。それはそれでいいではないか。
 ああ、月よ、多くのものを手放した同輩よ。ともに静かに輝き続けよう。
 そうエールを送ったときだ。どうも月は静かにしているわけじゃなさそうだという記事があった。
 1969年から1972年までアポロ計画で月に着陸した飛行士達は地震計を月に配置してきた。それらは1977年まで地球にデータを送り続けてきた。
 すると意外にも活発な地震活動があることが分かったのだ。隕石の衝突や寒暖の極端な差で起こる氷塊の変化などいくつかの原因があるが、一番危険なものは地下20から30kmで起こる地震だ。マグニチュード5クラスのものも観測されているという。
 こうした研究は将来月面に基地を作るときのための重要な情報になるだろうというのが研究者の意見だ。
 そうだったのか。お前はまだ天空でもがこうとしているのか。院長のエールを無視してまで生き様をかえようとするのか。いいだろう。かくなるうえは一人で凛として進んでいくしかない。
 と、よく分からない内容になってしまったが、思ったままをメモしてみた。
スタッフ「いいえ、よく分かります」
院長  「そう?」
スタッフ「院長にはジシンがない」
院長  「そう」
スタッフ「そしてツキにも見放されている」
院長  「そうそう」

ネタ元
Moonquakes

“月地震” への2件の返信

  1. 月地震は毎月一回あるでしょう。満月のよるウサギさんが餅つきするので。
    キネと臼の振動が、アポロの地震計に感じるのだと思います。

  2. やはり月にはウサギがいるんですか。餅つきするとき背中を反るウサギは、因幡ウアーのうさぎでしょうか?

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