前問

単語帳で遊ぶ日々が続いていて、今までためていたデータをもとに問題の登録数を千のオーダーにまで増やした。
そうなると、いくらやっても覚えているかどうか不安になる。そこで昨日、ランダムに出てきた単語のひとつ前の単語を表示できるようにした。

どういう挙動かというと、覚えたつもりの単語や句(A)を終えて次にアトランダムにわ単語や句(B)を表示させて覚えようとしたとき、(B)を表示させたまま、もう一度(A)を出すことができる、というものだ。
あまり見ない学習システムだがやってみると結構、味がある。というのは、Aをしっかり覚えたつもりでもそうでないことが分かり、かつどこが覚えられないポイントなのかが明確になるのだ。

これはいいぞ、とやっているうちに疑問がわいてきた。Aを覚え直したとしても、Bが終わりCに移ったときはAはもう二つ前の問題になっている。
それを覚えているかどうかは、どうして確かめられるのか。ランダムに出ているので、作ったシステムではCから二つまえのAを出すことはできないのだ。

いやいやそうはいってもBは覚えられる。だがDに移ったときはその確認はどうするのだ。
終わってみれば結局すべて覚えていない事態だってありうるではないか。

院長の心の中で葛藤は続く。
「お前は覚えたつもりでもなにも覚えてないのだ」
「でも繰り返しやれば覚えていない個所が分かり克服できるのではないか」
「では問う。覚えていなかった個所が分かるとは、覚えていなかった個所を覚えているということだ。何千もの個所を覚えていることをお前にできるのか」

かくして前問答をめぐる禅問答は続くのであった。