デジカメ

 大都会に出向き、量販店でデジカメを購入した。詳しくない方のために説明すると、200万画素ぐらいの製品だと、携帯のカメラ程度の解像力しかない。せめて400万画素程度のものじゃないと、デジカメとはいえない。
 そもそもそうした知識を持ってない人はデジカメなぞに手を出さない方がいい。確かにお値段は200万画素のものの方がやすい。だからといって、それを買ったあと、せめて電話が付いていたらいいのにと後悔するのが関の山だ。


 今日、店員さんに説明を受けた直後だから、間違いない。安さにつられ、危うくデジカメに装着できる携帯を探さなければならないところだった。
 で、ついでにすぐに使えるようにセッティングしてもらって店を後にする。
 公園あたりでいくつか試し撮りしてみたら、このデジカメ、かなり、おもしろい。お絵かきに熱中する子供の心理がよく分かる。
 ともに周囲の真実を映し出そうとしているのだ。ただ、幼稚な線で、世界を上手に模写してると勘違いしているアホな幼子とは、次元が違う。
 なにせ400万画素なのだ。世界を映し出す力の差は歴然としている。チビたちよ。お前たちが一生かかっても打つことのできない数の点でこちらは描いているのだ。
 で、ルンルン気分で夕暮れの街を歩いていると、なんと美しい月が空に浮かんでいるじゃない。それもビルの頂にちょうど重なるように輝いている。
 絵心豊かな人というのは、いろんなものに気づくものだと、自分を誉めながら、デジカメを取り出す。
で、撮った画像がこれ。
 美しいでしょ?涙が出るでしょ?
 そういうわけで、とても満足しながら、夕食でも摂ろうと、近場のビルに入る。
 で、そのビルの最上階のレストランに行ったんだけど、周囲のビルよりひときわ抜きんでた高さのビルだけあって見晴らしがいい。
 で、景色を眺めていると、ビルの屋上に光り輝く月に気づく。運は決していい方ではなく、沈んでいくツキはいくつも体験してるけど、ビルの上にじっとしてる月を見るのは初めてのこと。
 つまりはさきほどデジカメに納めたビルでして、輝いていたのは球体のイルミネーションだったわけね。
 まぁ月に似せて作ってあるんだろうけど、まんまと勘違いさせられてしまった。
 これじゃ世界を理解してるようでもしてない幼子の目と変わらないよね。いや下手な線でも、リンゴはリンゴ、月は月と、しっかりとものをつかんでいる幼子の方がおりこうかもしれない。
 200万画素だろうが一千万画素だろうが、なに撮ってるのか分からないようじゃ、同じこと。
 つまり、世の真実は、しっかりした目デ、ジカメ…いや、つかめ、というメモでした。

“デジカメ” への1件の返信

  1. あまりに画素が高いと、gooのFOTにはUPできません。KA-NAの今日の薔薇は300万画素です。

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