へそくり

 数日前より、部屋の大々的な模様替えをしている。整理するのに一番困っているのが本。医学雑誌が目を通しているいないに関わらず、溢れかえっていて思い切って年度を区切って処分することにした。
 院長室だけでなく、クリニックのいくつかに分散している雑誌もまとめて捨てることに。で、近くの業者に連絡すると、ごく少額で引き取ってくれるというから一昨日来てもらっていた。
 昨日のこと。それでも院長室にあふれる雑誌を整理してたら、ふと思い出したのね。確か本のなかにヘソクリを入れてたなぁって。
 それも結構まぁまぁまとまった額だから、この機会だからなにかに使おうかと、その本を探した。


 でも、あると思ってた場所に、その本が見あたらないじゃない。まさかほかの本なんかと一緒に捨てることなどしてないはずと、もう一度心静かに別の場所を探したけど、ない。昼休み直前のことで、もしやとあわてて回収してくれた業者の元に車を走らせた。
 初めて行くところだったんだけど、粗大ゴミなんかがうずたかく盛られている場所があり、すぐそれと分かる。車から降りて声をかけてみても 誰も出てこないので、仕方なく一人でゴミを見て回っていた。すると間もなく医学雑誌の山が見つかり、それからモグラのように雑誌の山のなかをかき分けた。
 放り込んだようにバラバラに散らばった状態だったけど、引き取ってもらった日からすぐだから、すべてあるみたい。で、あると確信しながら30分ほど作業を続けると、目的の本に巡り会えた。
 まずは一安心。そうホットしてパラパラとページをめくってみたけど、なんにも出てこない。
 昼休みも終わり近くになり、失意のもと戻るしかなかったわけで。
スタッフ「結局ボケてきたって話でしょ」
院長  「間違いなく、入れてたんだけど」
スタッフ「じゃあ、業者の方が見つけて懐に入れたとか」
院長  「それも思いついた」
スタッフ「ほかの人に本を貸したとかして、そのとき取られたとか」
院長  「それも思いついた」
スタッフ「ネズミが本から引き抜いたとか」
院長  「それも思いついた」
スタッフ「それって、ボケの被害妄想じゃないですか」
院長  「それは思いつかなかった」

結局違う本のなかにキチンと待っておられ、ボケの被害妄想の線が一番当たっているかと。

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