ハルウララ

 競走馬のハルウララが人気を博している。なにやら百回以上の連敗が続いているということで、ホームの高知競馬場では観光コースにまでなっているらしい。
 で、思い出したこと。
 もうン十年も前のことだけど、マスターズという水泳大会に出たことがある。誰でも参加でき、初心者は競技の雰囲気を楽しめ、上手な人は人で、記録を争えるような大会。種目もあらかたそろっていて、どんどん競技をこなしても一日はかかる大がかりなもの。


 で、自分の種目も終わり、あとはのんびり応援してたのね。
 やがて始まったのは50m平泳ぎ。ヨーイドンで7,8名のスイマーが泳ぎ始めたのはいいけど、なかに超初心者のオバサンがおられて、それはそれはゆっくりと進まれる。決して手を抜いているんじゃないのは、手の動きや水面に立つ波で分かるんだけど、とにかく遅い。歩いた方が早いくらいの遅さで、折り返してトップが戻ってきても、まだ往路の10mぐらいのところを進んでいたほどだった。
 そんな彼女に対して、やがて観衆から声援が起き始めたのね。水泳独特の、”ソーレ、ソーレ”とうやつね。
 だんだん会場の心が一つになり始め、そのかけ声も一段と高くなる。
 競技の方は、次々と参加者はゴールしていく。にもかかわらず、オバサンはようやく折り返し地点。その後も彼女へのかけ声は続いていたんだけど、折り返しも半分ほど過ぎると、だんだん小さくなっていって。
 それどころか、そのうち、「歩けぇー」とか「やめたらー」とかの言葉が、多くはないけど出るようになって。しかもそのヤジで失笑が起こる始末。
 まぁ、競技の進行が押していたというのも分かるし、出場するしないに関わらずご贔屓の種目がどんどん遅れるのは避けたいというのは分かるけど、じゃあ最初の声援はなんだったのってカンジだよね。
 オバサン、それでも泳ぎ切り、水から上がり陽気に会場のみんなに手を振り、ルンルンとしたカンジで退場されたのね。会場にはパラパラと拍手が。
 結局、人の声援なんて、いい加減なものなのね。
 オバサン、ルンルン陽気な格好をしてたけど、きっと癇にさハル、ウララ、ってとこだったんじゃなかろうか。

部屋の模様替えであたふたして、アップが遅れました。まだまだアップアップしてますので、なにとぞご理解のほどを。

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