ひとえ瞼

家族での夕食時、プリクラが話題になり、なぜ目を大きくするような加工に人気があるのか、との疑問がだれともなく出された。
息子は「平安時代はひとえの切れ長の目が人気だったらしい」という。
いつものようにとくに結論らしきものはなく話は途切れたのだが、ひとえ瞼の言葉が気になり、そのあとひとり考えてみた。

平安時代は十二ひとえに人気があったせいだろうか。いやいやそんなことはあるまいと、聡明な院長はすぐに己を否定する。きっと近代の世界が西洋文化に支配されていたからではないか、というなんとなくそれらしき別の考えが浮かんだ。

もしそうならば中国に世界を牛耳ってもらうしかない。そうなればひとえ文化もどんどん広がっていくだろう。

ただ中国が世界の主になったときは、ひとえの目が広がるだけではなく、怖い目や厳しい目に会うことも覚悟しなければならないだろう、聡明な院長はすぐに気づくのであった。