座りっぱなし

自分はりっぱな医者だと思う。患者が来なくてもじっとイスに座って待っているのだから。こんな暑い夏の日は海辺へいくのが一番なのに、それでも汗をかきながらじっとじっと患者を待っている。おのれはなんと患者思いの医者なのだろう。そんな感慨に耽っていたらこんな記事があった。座る時間が長いと死を早めるというのだ。

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C反応性蛋白


双子らがわんぱくに育っているのはうれしい限りだ。公園に行けば、前とは違い1人でブランコに乗ったり二人でシーソーに乗ったりしてはしゃぎ回っている。そしてそのわんぱくぶりは砂場にも向かうのは当然のことだ。
だが息子たちよ。待ってくれ。そこはネコのおしっこや犬のウンコや酔っぱらったおやじのションベンや、とにかく得体のしれないものが潜む場所。そして多少なりとも人に害をあたえる微生物が住んでいる場所でもあるのだ。このことはお前たちにはいつも言い聞かせているはずだ。
そしてお前たちは、ありがたいことに、わんぱく心をがまんして砂場に見切りをつけてくれている。
だがパパたちは間違っていたかもしれない。いろんな微生物に接触しないことは将来、お前たちの病気のリスクを高めるかもしれないのだ。

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ボトックス


ボトックスという注射薬がある。ボツリヌス菌から出される毒素を抽出したもので、眼瞼けいれんなどの治療に用いられる。現在いくつかのけいれん疾患に保険適応となっているが、適応となる前から全国を飛び回り、それを用いて治療していたある先生と昔、懇意であったこともあり、少ない医学知識のなかのひとつになっていた。

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知性

脳にはたくさんの神経細胞がある。だがどれくらいの神経細胞があれば知性は生まれるのだろうか。痴性しかない院長の頭では決して考えもつかないそんな研究をしている科学者がいた。なんと数千の神経があればいいというのだ。
神経細胞が1個1円だとすると、院長の一ヶ月分の小遣いで買っても数千円のおつりがくるのだ。それほど少ない数で知性が生まれるというのだから驚きではないか。

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ウクライナ

ウクライナでやっかいな病気が広まっている。呼吸器疾患のようで原因はまださだかでないがインフルエンザとの関連も疑われているという。
海外の科学系サイトをウォッチングしていたが、とりわけ大騒ぎにはなっていない。もちろんその事態をネットで知らせようとした科学者が謎の病気で直前に倒れたということだってありうるし、科学性サイトと思って見ていたサイトが実はエロサイトだったという可能性も否定できない。

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タバコ

クリニックの脇の道路にいつも吸い殻を投げ捨てている中高生らに告ぐ。君たちは勘違いをしている。「タバコは二十歳になってから」、なんてどこのだれだか分からないやつが言い出したキャッチコピーに惑わされているのだ。そんなこといわれれば二十歳前に吸ってやろうじゃないか、そんな反骨精神を持つのが若者だ。それはそれでいい。
だが君たちは間違っている。タバコは200歳になっても吸ってはいけないものなのだ。

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じゃれあい

カミさんとの関係で悩んでいたら思考がはたと止まってしまった。双子の子供らがそばでまるで子ザルのようにじゃれあい始めたからだ。
お互い寝っ転がり、手足をばたつかせながら、片方があるときは上になりあるときは下になってキャッキャいいながら触れ合っている。本当に楽しそうに遊ぶ姿は微笑ましく思うのだが、すぐに心配になる。数分後、かならずといっていほどけんかになるのだ。

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親指姫

寝不足のせいか最近、白昼夢を見るようになった。
今日も科学サイトの記事をながめていたとき、意識がぼやけてきた。
記事の内容は携帯メールなんかを指でせっせと送っていると近い将来、疲労障害が起こるぞ、と警告するもの。とくに若者に向けての人間工学研究者からのメッセージになっている。肩と背中を固定させて指だけを早く動かすという点で携帯のタイプはコンピュータのタイピングと類似しており、コンピュータ作業で現れる疲労障害-手根管症候群や滑液胞炎、腱鞘炎など-と同じことが起こるに違いないというのだ。

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ワクチン

新型インフルエンザのワクチン接種が始まった。こんな弱小クリニックにもワクチンが届けられるのはありがたいのだが、心の奥底で感じるものがある。自分はこのワクチンのどれほどを理解しているのか、すべてを理解できないのにそれを実践しようというのか、そんな悲哀にも似た疑問が心の奥底でうごめくのだ。

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