Lucyネーミング考

「直立二足歩行の人類史」(ジェレミー・デシルヴァ著)を読んでいるとき、Lucyの発見にまつわる話に出くわした。

Lucyとはエチオピアで発見された人類の祖先である類人猿の骨格標本に付けられた名前だ。

その本にはこう述べてある。
骨格を見つけた晩、”発掘チームは祝杯を挙げながら”ビートルズのアルバムをカセットプレーヤーで、”何度目か分からなくなるほど繰り返し聴いたあとで”Lucy in the Sky With Diamondsが流れていたとき、”あるメンバーが”化石の名前をルーシーにしようと提案し、”それ以降、それはルーシーと呼ばれている”

この話、有名なトリビアかもしれないが、改めて考えると疑問が湧く。そんなノリで名前が決まるものだろうか。

調べてみると調査隊は4人のアメリカ人と7人のフランス人で構成されていたようだ。

2,3名の隊であればそんなこともあり得るかもしれないが、10名以上の構成メンバーともなると事態はことなる。かつ今後考古学を揺るがすことになるかもしれない発見なのだ。

実際、ウィキメディアを見ると”当夜の騒ぎの中で、具体的に誰が提案してそう命名されることになったのかなどは分からなくなっている[12]”とある。

結局、調査隊のなかで力のあるメンバーがいわば強引に名付けたというのが、ことの自然な成り行きのような気がする。

いずれにしても Lucy in the Sky With Diamonds からヒントを得たネーミングであり、また発見は Diamonds 級のものであったことは間違いのない事実なのだろうが、きっとメンバーの中には、このネーミングや決め方について恥ずかしく思い異議を唱えたかった方もひとりやふたりはおられたのではないか。

もしそうであれば、かれらの頭をよぎった歌詞はきっとこうだろう。

Lucy in the Shy With Diamonds