医師天道説

 飲み屋さんに行ってアサヒビールとえびすビールを注文したとしよう。もちろんあっという間に飲み干してしまうだろう。で、勘定の段になると、当然ビール二本代を請求される。これが今のお支払い制度の全容だ。
 意外に簡単な説明ですんでしまった。とはいえ、これが今の医療の支払い制度で、”現物給付”という。
 たとえ話のなかでただ一つ違うのは、黙って座ってても、おひたしや、ウィスキーや、魚の盛り合わせなどが出されること。つまり、医者が、あの検査やりましょう、あの治療やりましょうということで、診療費が組み立てられていくわけ。


 もちろん、いまどき患者さんに説明なしに検査や治療などやってるとこは、ちょっと問題があるんだろうけど、平気でそんなことがまかり通ってた時代もあったみたいね。
 で、この現物給付、病気ならすべて保険でまかなわれている。1点10円というルールのもと、たとえば胸のレントゲンを一枚とると大体、150点ほどになる。つまり3割負担の人ならその45点分、お金に換算すると450円を支払えばいいわけ。
でも、新しい治療なんかで必要なら自費でまかなってもいいんじゃないの?という意見がチラホラと出始めた。これが”混合診療”といわれるもの。
 もしそうなったら、ときにはお金持ちしか受けられないという治療も出てくることになるかもしれないし、貧乏人としては、病気にならないように日々、アルコールで肝臓を鍛えるしかないと意を新たにしているところだ。
 で、この混合診療を認めるのかどうかというのがここ何ヶ月かお役所のトップあたりで話しされていて、ある医学雑誌に6月23日の討論の模様が載っていた。そのときに出てたのが”医師天動説”なのね。
 混合診療はいいんじゃない
「現物給付というのはお医者さんが医療を自分で決めて患者に与えるという”医師天動説”の考え方。医師天動説をなおこの時代にも主張するのか」と答弁。
 一方医者の代表の人は、
「我々は患者さんの命と健康を守るためにがんばっている。天が我々を中心に回っているとは思っていない」
と反論。
 なかなかむずかしい問題をはらんでいるとは思う。ただいくらなんでも、”医師天道説”はないだろうというのが正直なところ。どんな病院,、どんな診療所を見てもそんなこと、いえるわけない。
 天が我々を中心に回ってるわけないじゃないか。われわれは点を中心に回ってるのだ。

ちなみにこの委員会の委員長は球団オリックスの会長さんで、この日は欠席されてたみたい。きっと別の混合問題で忙しかったんじゃないかと。

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