抹茶アイス

 また連休中の大型ショッピングモールでのメモ。名前は覚えてないんだけど、横文字のチェーン店とおぼしきソフトクリーム屋さんがあったのね。見てるととてもおいしそうで、並んでいる数人のお客の最後尾についた。
 そこからでもショーウインドウがながめられ、ストロベリー、チョコ、ブルーベリーなどなど、見てるだけでよだれが出そうなアイスがおいでおいでをしている。で、なんにしようかと迷っていると、たちまちのうちに順番が回ってきた。


「なんになさいますか」と若い売り子さんが聞くので、もう一度ショーウインドウを見ると、日本語だからというのもあるかもしれないが、「宇治の抹茶アイス」という名前が目に飛び込んできたのね。
 なんだか惹かれ、店員さんに「宇治の抹茶」といったはいいが、まだ少しの迷いがあり、ショーウインドウから目が離れない。すると店員さんも、こちらの気配を察してかもう一度聞いてくるではないか。
「…サイますか」
 ああ、そうそうストロベリーさんに申し訳ないことをするとこだった、そう思い直して、「じゃあ」といい直しかけるも、やっぱり横にまします、「宇治の抹茶」が気になる。
 やっぱり日本人なら抹茶でしょ、ってなわけで、もう一度、「宇治の抹茶」と答えたはいいが、今度はチョコアイスさんに無礼を働いているのではという思いがしてきて。
 で、ごく一瞬迷ったんだけど、なんとその店員さん、またまた聞いてくるではないの。
「…サイますか」
 これは、もう一度考えてみろってことだなと、またちょっと思案したあげく、やっぱり日本人なら抹茶だなということで、「宇治の抹茶」とファイナルアンサーを出したのね。
 でも、店員さん、まだ「…サイますか」と聞いてくる。よく聞き直すと、「サイズなんになさいますか」って聞いてるのね。あわてて、「普通お願いします」とかしこまったんだけど。
 どんぶりにしろ、アイスクリームしろ、ああいう立体的なやつはやっぱり、「大盛りですか、普通ですか」っていうのが普通じゃないのかなって、食べながら考えた。服とかクツの長さとか二次元的なものにサイズって表現、ピッタンコって今まで思ってたんだけど。
 でもやっぱりそうでもないかなぁ。箱のサイズとかいうし、なんとなくボクの三次元的なものの捉え方がおかしんだろうな。
 でもね、次元では一本少ない思考しかできないにしても、なんで「宇治の抹茶」って三回もいったんだろう。ほかに日本語のアイスはなかったし、「抹茶アイス」だけ十分よかったのに。
 要するに毛も一本足りなかったってことなのね。
 まぁ、なんにしても恥ずかしさだけは、てんこ盛りでした。

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