搭乗



 今年のバレンタインは愛のかけらも届かなかった。こうなればチョコ製菓各社に質問したい。
 一体愛はどこにあるのか。製菓の中心で愛を叫んでもいいのか。
 そんなクソバレンタインだったが、そんな気分を吹き飛ばすような記事があったのでメモしておきたい。


 どうすれば効率よく客を飛行機に搭乗できるかという内容のものだ。米国のフェルミ国立加速器研究所の科学者が考えたという。
 まず搭乗のさせ方で一番効率の悪い方法はすぐに想像がつく。前方の席の人たちから順に客を搭乗させることだ。後続の人たちは先に入った人が席に座るのや、通路で荷物を上に上げるのを待たなくてはならないからだ。仮にこれをA法としよう。
 当然その反対、つまり後ろの席の人たちから順に搭乗させれば一番効率がいいと誰もが思うだろう。ところがそれが違うというのだ。
 その科学者がモンテカルロ法という数学的手法と直感を用いて遊び半分でシミュレーションをやってみたところ、A法とさほど変わらない結果だったというから驚きだ。当の科学者も最初自分が書いたプログラムが間違っているのではないかと疑ったという。
 だが見直しても間違いはないことが分かり、興味をそそられた科学者は最適な方法を探し始めた。
 その結果、荷物を棚に上げなければならない時間が必要なので、それぞれの列で10人づつ搭乗させるのがもっと時間が短縮できることが分かった。飛行機の大きさにもよるが、A法より4倍から10倍早く搭乗させることができるという。これを仮にB法としよう。
 だがこれは実用的ではない。往々にして連れの客は隣り合った席を取っていて一緒に搭乗することを希望するからだ。
 ということで横にならぶ3席を一ブロックとして縦の列ごとに搭乗させる方法を検討すると、B法より2倍時間がかかるがA法よりは2倍早いことが分かった。これをC法としよう。
 だがそもそもこのC法であれ、先のB法であれ搭乗の際には客を席の番号で並べる必要があるのだ。そんなことは航空会社にとってはやっかいに違いない。
 ということでもう一度検討してみたところ、意外にも全くランダムに搭乗させることでC法に近い時間を得られることが判明した。
 結局搭乗時間を左右する大きな要因は棚に荷物を上げるのに掛かる時間であることが分かり、バラバラに搭乗することでこの動作を分散させていることが、搭乗時間の短縮につながっている、というような内容の記事だ。
 興味を惹かれるポイントがいろいろあるが、一番は、常識的な判断の盲点という点だろう。
 そこには真理が宿っているのだ。
 そしてこのことはこのたびのバレンタインデイにも通用することだと気づいたのだ。
 一体誰からのチョコを期待していたというのか。義理チョコと引き替えに愛の搭乗券を渡すつもりなど毛頭ないのに、一体なにを期待していたのか。
 そんなバカな己に気づいたのだ。
 常識的に考えるとバレンタインにチョコをもらえなくてもがっかりするのが普通だが、実はそこにはなにも問題などないのだ。それこそ真実だ。
 ただひとつだけ欲をいわせてもらえれば、せめてカミさんからはもらいたかった。カミさんからはもらえると思っていた常識的な判断の盲点にも、ひょっとして真実が宿っているかもしれないと思うと、黙らざるをえない。


ネタ元
The Best Way to Board a Plane

2 Replies to “搭乗”

  1. 飛行機のハートが”永遠の15歳”って感じなoyajiさんの心の現れのようです。
    元彼との2回目のデートで飛行機に一緒に乗ったんですが、飛行機に乗ってからビールを飲み始めるまでの時間の早さに驚いたことを思い出しました!(離陸する頃にはもう酔ってたような気がします)
    早く搭乗させるには早く荷物を置いて席に着いた人からご褒美があるといいのかも。。。

  2. 早い者順というルールもいいかもしれませんが、ある種の愛が必要となってきます。
    押しアイ、へしアイという愛です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。