死後メール

 死んだ後にメールを配信するサービスができたそうだ。郵便であれメールであれ録音であれ、死んだ人からのメッセージというのはよく小説の題材にもなっている。内容はなんにしても、きっと変えることができない絶対性とでもいうべきものに、人は心を惹かれるんじゃなかろうか。むしろこれだけ携帯なり パソコンなりが普及している時代に、いままでこんな商品が出てこなかった方が不思議なくらいね。


 でも、もらった方はかなり複雑だよ、きっと。
 ボクなんか感謝の思いを伝える内容でも考えてしまいそう。
「いつもあなたの後ろから応援してます」なんて届いたら、夜、おちおち鏡が見れなくなっちゃうかも。
ましてや恨みつらみだったら、なおさらだよね。
「いつもあなたの後ろから恨んでいます」だったら、昼でも、おちおち鏡が見れなくなっちゃうよなぁ。
 文面のルールとかあったほうがいいかも。
 で、その会社の営業マンに依頼するとしたら、こんなカンジになるのかなぁ?
院長   「いままでうまくないギターを弾く院長をボケナスのヘタくそだと思ってた人。じゃあ訊くけど、ボケナスのヘタって食べたことあるの?どうしてボケナスのヘタがうまくないって分かるのかよ。
いままでボクの碁を弱いと思っていた人。だいたいね、碁が強いくらいでいばるなってぇの。そんなに強いんだった、碁盤の一つぐらい頭で叩き割って見せてくれよなぁ。
ここのホームページがおもしろくねぇって思ってるテメエ。そんなら、パソコンの横に鏡でも置いて、テメエの顔みながらパソコンいじくれってぇの。
えーと、こんなところでお願いします」
営業マン「分かりました。文句が多いので、これは死後メールじゃなく、しのごのメールということで」
院長   「死後メールじゃないんですか」
営業マン「はい、院長のは四の五のと文句ばかり多いので、ルールにより、しのごのメールです。相手には生きているうちに届きます」
院長   「…あなたへの文句も付け加えていいですか」
 とまぁ、もし利用するようなときはあまり人のことを悪くいうのはやめましょうね。ハイ。

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