生き物の感覚とは実際のところどんなものなのだろう。たとえばウチのアホ犬は院長とイケメン俳優、玉木宏との区別をどうつけているのだろうか。
イヌは目が悪いというから、ましてやよく似ている二人だけに、視覚的には判別が難しいかもしれない。むしろ発達した嗅覚で二人を区別しているのではないか。そこではいつもエサを与えている立場にあるものが玉木宏よりイケメンに”映っている”可能性だってある。
そうか、よしよし。今日のエサは少し多めだぞ。
そうした疑問を抱いたのはこんな記事があったからだ。
サメはイヌ並の嗅覚をもってエサの臭いを嗅ぎ分ける。だけどそれだけでなく、臭いの”形”で対象を認識しているらしい。
サメの体の横には測線と呼ばれる神経が集まった縞がある。水中の生き物の細かな振動をそれで感じ取ることができるのだが、詳しい能力は分からなかった。
調べてみると、どうも水のなかや深い霧のなかで手を動かしたときに生じるような三次元的な”乱れ”を捉えていることが分かったという。米国の研究者らの報告で、かれらがやった実験はこんな具合だ。
グルグル回る水のタンクのなかにイカの臭いだけがついた水流を作る。つまり実際のイカが作り出すような水の動きはないわけだ。それをサメが追っかけることができるかやってみたら、ほとんど失敗に終わった。
ところが臭いの後ろにレンガを置いて水の乱れを作ってみると、臭いを”補食”できるようになった。
さらに薬で測線の機能を麻痺させてみると、全く臭いを追えなかったという。
おもしろい実験だが、ちょっと気になることがある。
ネタ元には間違いなく、研究者の言葉としても「臭いの”形”」という言い回しが用いられているのだが、これはむしろ視覚の問題ではないだろうか。
臭いの近くまで行ってそれを捉えるのは、やはり見えないとできないのではないかと素朴に思うのだが間違っているだろうか。
そんなことを漠然と考えていたのだが、しばらくすると自分の過ちに気づいた。これは触覚の問題なのだ。
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