分別

 築十年ちょっとの天井からジョウロのように雨水が漏るは、昨日までなにも問題なかった超音波が突然不良になり修理にン十万いるといわれるは、まだまだ乗れるはずの自動車からはエンジン音以外のなにか分からない音がし始めるは、とぎれることなく患者が来るはで、まったく今日は不幸に見舞われた日だった。
 建築業者や医療機器業者やその他、今日起こったやっかい事の担当者からいろいろ話を聞いていると、頭に来てあやうく分別をなくすところだった。


 ということで手短にメモを済ませたい。
 オランダの外科医の話だ。手術のときに得た不要な組織をイヌに臭いを嗅がせていた。
 別にイヌの餌にしようとしていたわけじゃない。人命救助犬のトレーニングをしていた。つまり地震とかの大災害のときに、クンクン臭いを嗅いで被災者の居場所を知らせるイヌとして仕立て上げよとしていたのだ。そのことが発覚してしまった。
 ということで一悶着があり今、国の機関が調査しているというのがネタ元の内容だ。
 業界の内部事情をご存じない方は、きっとその外科医を非難するだろう。なんといっても尊厳されるべき人の身体の一部だ。それがないがしろにされているのだ。
 だが現場はその思いとは若干違うのだ。手術中にチョコチョコ出るいろんな患者の身体の組織は医療廃棄物として処理されている。この事実を知らされたらどうだろう。
 それを他の人命に関わることに用いることがどうして問題なのか、という意見にちゃんと反論できるだろうか。
  
 なかなか難しい問題だ。
 確かに外科医の分別を非難するのは容易だ。だがそれだけの問題なのか。
 この記事を読んだ後いろいろ考えた。超音波の修理代をなんとか値切る方法がないか考えている最中も考え続けた。
 そして自分なりの結論が出た。
 その外科医にはこういうべきだ。
 ゴミの分別はちゃんとしろ、と。

ネタ元
Surgeon took flesh home to train dogs

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