周りを飛び回られると年中うるさいのに、”うるさい”をなぜ五月蠅いと書くのだろう。それならいっそのこと年中妻にでもしてもらった方がよっぽどしっくりくる。
この五月蠅いハエに誰しも一度は殺意を持ったことがあるはずだ。そのときを思い出しながら想像して欲しい。
あやつらは突然やって来る。どこからか部屋に入り込んできて壁や机の端や食べかすの上に着地する。それだけなら放ってもおけよう。だが事態は急変する。カミさんが騒ぎ出すのだ。
そばにハエ叩きがあればいいが、そんなのは一昔前の凶器だ。だが大丈夫。新聞紙がちゃんとそばにある。いつかはカミさんに「取ってこい」と命令するのを夢見る新聞紙だが、今はれっきとした凶器だ。それを息を殺して丸める。
なんだかんだいっても相手は虫けらだ。今から起こる事態も分からず呑気に手をすり足をすっている。
そうっとそうっと近づく。そして静かに振り上げる。
今がチャンスだ。
間違ったフリしてカミさんの頭に落としたいが、その欲望に負けることなくハエをめがけて振り下ろす。
するとどうだ。こちらの行動をみすかしていたかのようにひょいと体をかわし、またブンブン部屋のなかを飛び回るじゃないか。
どうしてだ。横からは文句が聞こえ始めてくる。ああ、こんなことになるんだったら思い切って攻撃目標を変えておけばよかった。
こうしたすざましい闘いを誰しも経験したことだろう。でも考えてみて欲しい。なぜうまく叩けないのか。
実はそれを調べた米国の学者がいる。たくさんのビデオを撮ってよく観察してみると、近づいた相手から逃げるとき、ハエはジャンプしてることが分かったのだ。
以上が今日のネタ元の内容だ。ほんの数文字になってしまったが、真実は言葉の多い少ないで決まるものではない。カミさんの言葉数と一緒だ。多かろうが少なかろうが相手を納得させるものが真実なのだ。
研究者のおかげでハエは逃げるときジャンプするという真実が明らかになった。このことをどのように社会の発展につなげるかは個人の責任だろう。
で、考えてみた。ハエからしてみれば一方向からくる物体に対し、360度どの方向へでも斜めジャンプして逃ればいいということになる。
ということは叩くという戦術はこちらにとってはかなり不利じゃないだろうか。あるいは方針転換が必要かもしれない。
カミさん「ゴチャゴチャいってないで素直に行動しなさいよ」
院長 「とおっしゃると」
カミさん「素直にプレーしなさいってこと」
院長 「はい?」
カミさん「素プレーよ」
院長 「はい、持ってきます」
ネタ元
How a Fly Escapes Your Swat