患者からは見えないクリニックの一角のテーブルには、地震で埋もれたときのためにいつも食べ物が置いてある。いわゆる非常食だ。といっても火を用いるような面倒なものではない。ロールケーキとかクッキーとかすぐに口にでき、かつ甘いものばかりだ。
不思議なことにお昼前と夕方近くになると地震が起こるような気がしてきて、すぐ手に取ってしまう。
地震など自分には無縁だと思っているに違いないスタッフからは「おやつの食べ過ぎ」と注意されるが、こちらは毎日地震に備えて訓練しているのだ。そんな甘っちゃんの考えに応じるわけにはいかない。
でも訓練のしすぎだろうか、最近太り気味だ。
そんなとき、写真のような器械があるのを知った。ペースメーカーみたいにお腹に埋め込み、胃壁に刺激を与えて満腹感を起こすというものだ。発売元のサイトにはいくつかの医学的なデータも掲載されている。ひょっとしたらこれを埋め込みさえすれば、食欲も押さえられるのじゃないかと期待がわく。
ところがこれはあまり効果がないぞ、というのがBBC NEWSに出ていた。
命に関わるような肥満の人だけにはなにか効果があるかもしれないが、他の人は結局、健康的な食生活を送り運動をしないと肥満は解消されないよというのがNESに出てくる研究者の発言だ。
実は「健康的な食生活を送り運動をしないと肥満は解消されないよ」というのはその発売元の説明にもある。この器械だけに頼っちゃだめよというわけだ。
発売元のサイトの医学データは時間がなく読んでないので、正直どちらの弁を信頼すべきなのか分からない。あるいは読んでも判断できないかもしれない。
ただいえるのは、注意が必要だということだ。とくに普段、医療知識に触れる機会の少ない方は、それらしき理屈をいわれるとだまされる傾向にあるかもしれない。
とはいえその背景には、すぐに肥満が解消できるかもしれないという、騙される側の甘っちょろい考えがあることも否定できないのじゃないだろうか。やはり発売元もいっている通り、「健康的な食生活を送り運動をしないと肥満は解消されないよ」というのが原則なのだ。
せめてこうした記事を読んだ以上、なんらかの形で注意を喚起するようメモにしておきたい。
ということで、いろいろ考えてみた。残りのロールケーキもクッキーも食べながら考えた。
で思いついたことがある。もちろん騙す方の責任はいうまでもない。これは騙される側への警告の言葉として捉えて頂きたい。
一般の方で甘い幻想を抱く人をこう呼ぶのはどうだろう。
アマチュアン。
発売元サイト
BBC NEW