つい先日、何年もご無沙汰の患者がこられたときのこと。ボクの顔を見ての第一声は、「年を取りましたねぇ」。いわく、シワが増えたらしい。
そりゃ月日が過ぎれば、そんなことないもあるわいな、と言葉のままを受け取ったんだけど、そんなにフケたかなぁとの思いも。
年を取ってからの見かけというのは、人によって随分違うなぁって診療しながら常々感じている。大体60歳ぐらいを過ぎると、どんどん見かけが老けていく人と、そうじゃない人にはっきり分かれていくような気がするのね。その大きな要素はシワ。
80,90歳の人でも肌に張りがある人って、ホント若く見える。
で、そんな患者さんに、社交辞令でなく若く見えることを伝えると、まず百人が百人、まんざらでもないという顔をされるのね。
でもね、なんで若く見えるってことが、気持ちいいことなんだろう。そういえば、診療してて、年より上に見える患者さんには、「老けて見えますね」、とかいったことない。きっと自分のなかで失礼だという潜在意識があるんだろうけど、なんで失礼なんだろうね。
あるいは、ヒトの限られた寿命のなかでの位置を、暗に表現していることになるからだろうか。若く見えるってことは、まだまだ長生きできそうですよということを語るからよくて、そうじゃない表現は、失礼にあたるということなんだろうか。
うーん、よく分からない。
でもまぁ、今さらシワをなくそうとしてもできないわけで。こうなりゃ開き直って、これからの楽しい思い出、悲しい出来事をたっぷり入れられる、深いシワでも刻んでいこうかと。
スタッフ「院長のシワは、人生を詰め込む秘密の部屋ってわけですね」
院長 「そうなんだよ」
スタッフ「じゃあ、お酒もタプタプ入ってるんですね」
院長 「そうなんだよ」
スタッフ「で、シワくちゃになっていく」
院長 「そうなんだよ」
スタッフ「ついでに、シワくちゃく、もなっていく」
院長 「やっぱ臭う?」