どうしても忘れられない光景がある。
10代半ばを過ぎたときだった。狭い部室で10人ほどいた部員たちと昼飯を食べていた。
そのときの一人の先輩の姿がどうしても頭から離れない。
ベンチに腰をおろした彼は、紙袋からジャムパンを取り出した。そして包みのビニールを破ると出てきたパンに一口かぶりつき、口にする。もぐもぐもぐもぐと頬を動かしやがてごくんと喉に落とし込む。口のなかが空になると、また一口パンにかぶりつく。そしてまたもぐもぐもぐもぐと咀嚼し飲み下す。それを繰り返していた。
なんの変哲もない食事の風景だ。だが、今にして思えば二つの点に興味を引かれたのだろう。
一つは顎を動かしている間、彼が手にしたパンをじっと見つめていたことだ。次のかぶりつく場所を考えていたのだろうか。中から出てきたジャムが落ちないように注意していたのだろうか。分からない。
ただ隣りで後輩がじっと見つめているのにも気づかず、もぐもぐしながらじっと自分が囓った跡を見つめていた。
もう一つは奇妙な身体の動きにある。彼はかぶりつくとき、口をパンに近づけていたのだ。手にしたものを口に運ぶのが普通じゃないだろうか。もちろん手も多少は動いていたのかもしれない。だが大まかな印象としては彼は頭をパンに近づけて食べていたのだ。
もう何十年前のことだ。ひょっとしたらあれは夢じゃなかったのかと思うこともある。
だがいつかどこかでメモしなければならないと心の片隅で思い続けていたのも事実なのだ。
あるいは夢でなくても、箸が転んでも笑ってしまう若者の感受性が捉えたごくありふれた食事の風景だったのだろうか。
そばにいる主人を振り向きもせず、バケツに顔を入れては黙々と食べ続けるウチのアホ犬を見てると、考え込んでしまう。
実は”病的な食べ過ぎ”に”チョコレートをかぶりつくこと”を想像すれば治療につながるという記事があった。
内容が少し理解しくく、実際にどのような治療なのかも分からないのでどうメモすればいいか考えていたら、ふと先輩のことを思いだしてしまった。
この機会を逃したらもう二度とないような気がしたのでメモしてみた。
ネタ元
Distraction key to chocolate cravings
食事をするトキって本当の姿を見られてそうで恥ずかしいから殿方の横に座って食べてます。こんな風にドキドキさせられるように食べてるかなぁ・・・
その先輩のように見られてたらヤダなぁ・・・
前に テレビで言ってたけど 食べ物に顔を近づけてたべる人は動物に近いって。
私は 子供に犬食いって 言ってます。
犬食いしてる人 結構いますよね。
エルメスちゃんが言うとおり 結構 食べ方って見られてますよね。
私も気をつけてはいるけど 色々やってるかも。。。。