便器

 ご婦人方はあまりご存じないだろうが、飲み屋さんの男性用トイレにはこんな張り紙がよく貼ってある。
”焦るとも心静かに手をそえて外にこぼすな松茸のつゆ”
 ”焦るとも”が”急ぐとも”に変わったり、”心静かに”が”一歩前出て”、あるいは”手を添えて”が”朝顔の”の文言に変えられたりしているようだが、いずれにしても”松茸 のつゆ”を便器の外にこぼすな、と注意を促しているわけだ。


 こうした張り紙もやがてなくなる日が来るかもしれない。というのは音声付き便器が開発されつつあるからだ。
 人が3mから6mの距離に近づくと便器の配水管にとりつけられたセンサーがそれを感知する。現在でも自動洗浄のセンサーがあるが、この機器には9cm大のスクリーンが備え付けられていて便器に人が近づくとCMが流れ始めるという代物だ。
「おしっこにかかる時間ってTVコマーシャルの時間と一緒じゃないか」開発者のそうした思いつきがCMへと繋がった。
 ただしCMだけではない。トイレをしている人がお酒を飲んでいる場合、飲酒運転の禁止や、安全なセックス、ドラッグ禁止を呼びかけたりすることもできる。
 ということで安全協会が乗り出しバーやレストランへ無償でプロトタイプを100台貸し出し効果を調べるプログラムが進行しているってなことがネタ元にある。
 小便にかかる時間とTVコマーシャルの時間とを結びつける発想はすばらしい。カミさんが買い物から戻ってくる時間とビールを一本空ける時間を結びつけることがあるが、その発想からはなにも生まれてこない。
 それはさておき一つ気になることがある。
 ネタ元には詳しく触れられていないのだが、お酒を飲んでいる人へ警告することができるということは、飲酒しているかどうかをセンサーが感知できるのだろうか。
 仮に今のプロトタイプでは無理でも、今の技術をもってすれば将来実現可能のような気もする。
 そのうち便器の前に立っている人の特徴を捉えることのできる機械も登場するのだろう。そうなればたとえば太っている人には痩身術、老人には介護用品の案内などなどバリエーションに富む宣伝が展開されることになるに違いない。
 それはそれですばらしいのだろうが、やはり気になる。
スタッフ「なにがですか」
院長  「”焦るとも心静かに手をそえて”なんて話かけられるわけだ」
スタッフ「それで」
院長  「”外にこぼすな”」
スタッフ「ふむふむ」
院長  「”マッチ丈のつゆ”、なんていわれた日にゃ」
スタッフ「院長だけね」

ネタ元
Urinals wired for sound

“便器” への3件の返信

  1. あの時間を活用するというのは、
    いい目のつけどこですよね。
    秘密でイイこともありますけど・・・
    マッチだって、燃え盛る炎を灯します!
    よね。

  2. ”マッチだって、燃え盛る炎を灯します”
    おおオオぉぉ、ありがたきお言葉。これを支えにこれからの人生、燃えて見せマッチ。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。