院長だけあって休みを取る権限を有している。一番行使やすいのは日曜日や祝日で、今回もその権限をフル活用し、30日から明けて3日までを年末年始の休みと宣言した。
それらすべてを費やし、家族でヤンバルノ森に出向き、海と山と森と人が培ってきた風土を味わい、またエーサーを見ながらの年越しカウントダウンを体験するなど楽しいひと時を過ごしたのだが、ひとつとても違和感を抱いたことがある。
これがそうだ。
40年も前に建てられたホテルとのことだが、この浴槽とトイレの配置は初めて経験するものだった。
世界のホテルではこんなシチュエーションがあるのかもしれないが、海外をめぐるぐらいの休日を取ろうものなら、院長の座を人にゆずるしかなく、そんなことをすれば路頭に迷う羽目になるため、確かめることができない。
思うに、トイレが横に併設されたユニットバスなどどこにでもある。それはいってみれば水平に関する配置の問題だ。だからここでの違和感は垂直の問題なのだろう。
清潔であるべきものが汚物より下にあることへの違和感、もしくは”実”を落とすものを浴槽から”見”上げる違和感みたいなものか。
考えてみれば休みだったはずなのに、レンタカーでタクシードライバーの仕事をやり続けた違和感よりは小さな違和感だ。
気にすることほどのこともないか、そう頭を切り替え、いつ取れるか分からない次の休日を静かに待っているのであった。