話しかけているとき、子供が目をそらすのは”考えている”からだというニュースより。
むずかしい質問をすれば、子供は目をそらすという。だから「人が話してるときは、目を見なさい」というのは、間違いだというのが研究者の意見。
でもなんだか違うような気がする。確かにものを考えるとき、子供は目をそらすのかもしれないけど、「人と話するときは目をみなさい」というのは、しつけというか、礼儀の問題じゃなかろうか。相手のことをちゃんと気にしなくてはだめですよ、というのが、この注意のいわんとしてることじゃないかと思うのね。
で、思い出したこと。中学生の頃、この田舎町の商店街を自転車で通っていたのね。近視が少しあったけど、メガネを掛けるほどでもない。ただ遠くのものを見るときは、少し凝視しないと見えづらい視力だったので、そのときも目を凝らして運転していたのだろう。
前方から歩いていた高学生ぐらいのお兄さんが、突然、前に立ちふさがり、自転車の走行を止めた。
で、顔をグンと近づけ、青年院長の襟首を捕まえながら、こうおっしゃる。
「お前、ガンつけたやろ」
か弱き青年院長はなにがなにやら、トンと分からないまま、とにかくお兄さんをにらみつけたつもりは毛頭ないことを訴えるだけ。周りに通行人がいたこともあり、お兄さん、それで気が済んだのか、襟首から手を離し黙ったまま立ち去っていった。
きっと「目を見られたら、話しなさい」って悪い先輩から教えられてきたんだと思うけど、事態が過ぎ去ったあと、なんとなく毅然とした態度を取れなかったオノレがなさけなくて。
子供「院長、結局どうしたらいいんですか」
院長「話しかけられたら、目を見なさい」
子供「分かりました。じゃあ、目を見ないときは、話しかけられないんですね」
院長「そうとも限らない。相手が勘違いして目が合ったと思う場合もあるからね」
子供「そのときはどうするんですか」
院長「目を見つめながらこういうんです。『離しなさい』」