季節性インフルエンザワクチンが不足している。うちのクリニックにも最近、ワクチン接種の予約ができないかとの問い合わせが多い。だが今はすべて断っている。
こんな経験はないだろうか。
連休が近くなってどこかに行楽に出かけようかと家族なり恋人なりで話が盛り上がる。でも連休直前だ。ネットで宿を探してもなかなか見つからない。徐々に希望する宿の条件はゆるくなる。画像を見ただけで綺麗な宿でないのは分かる、紹介の文章を読むだけでまずそうなメシだ。だけどほかのところは予約で一杯なのだ。仕方ない、ここで手を打つしかないか、そんな気持ちで予約の電話を入れたことはないだろうか。きっとうちのクリニックに電話をかけてくる人も同じ気持ちだったに違いない。
だけど申し訳ない。本当にワクチンの空きはないのだ。先月から予約で受けていた人の分はすでに消化し、すでに在庫がなくなっている。いろんな情報で今後おそらく一定数のワクチンは入ってくるだろうとの予測のもとについ数日までは患者の予約を受けていたのだが、そろそろ限界のようなのでそれもうち切っている状況だ。
そんな昨今、ある病院に診療手伝いに出かけた今日の午後のこと。となりの診療ブースで、とある先生が患者に季節性インフルエンザのワクチン接種について説明していた。こちらの患者が切れていたので耳をダンボにして聞く。
どうやらこの病院もワクチンが在庫切れで今後入荷予定のワクチンを今月のある一日に決め、希望者に打つということになっているらしい。
”来た人から接種します。早い者勝ちでワクチンがなくなったら、はい、おしまい”、ほぼそんなカンジの言い回しで患者に説明をしていた。
うーん、なんとなくバーゲンセールにも通じるような表現に違和感を感じたのだが、なるほど、”打ち止め”の意味はこういうことだったのか、と合点がいく自分がいたのも事実なのであった。