ほどほどに永く田舎で診療して思うことは、田舎の人は人を信じやすいということだ。その証拠にクリニックに来る患者がいる。だがなんといってもその最たるは道ばたにある無人販売所だろう。
そこにはトマト、白菜、人参などなど獲れ立てのものが値札とともに並べてあり、その傍らには郵便受けのような箱が置いてある。代金を正直に箱に入れてくれるよう催促しているのだ。
だが忘れてはいけない。そこは無人なのだ。来訪者は正直にお金を入れているのだろうか。ひょっとして少ない額しか入れてないのじゃないか。あるいは都会育ちでシステムが理解できない院長のようにただで持ち去っている人はいないだろうか。
果たして人の正直さはどれほど実行されているのだろうか。そのヒントになる記事があった。
英国のニューカッスル大学で行われたある実験が行われた。
この大学の心理学部にはおよそ50人近くが使っている共同部屋がある。そこに何年も前から無人販売所にあるような”正直箱”がある。
部屋では紅茶やコーヒー、ミルクなどが飲め、それらの値段は”正直箱”に貼ってある紙に書いてある。大学人はそれをみて額を箱のなかに入れるのだが、ただし正直に入れているかどうかだれからもチェックされない。
ある研究者がその箱に目を付けた。箱の上の壁にポスターを貼ったらどうなるだろう、そう考えた彼は「目」と「花」の図案を週が変わるたびに交互に変えて貼ってみた。「目」と「花」の図案は毎週異なっている。
それを10週間やってみたところ、”正直箱”には「目」の図案を貼った週の方が「花」の図案の週よりおよそ3倍もお金が入っていたということが分かったのだ。
見られていると感じることが意識下で”いんちきしちゃダメだぞ”という圧力になってるじゃなかろうかと研究者は見ている。
ネタ元だけでは判断がつきかねるが、「目」の週でもきちんと集金額と請求されるべき額は合っていないだろうということは想像に難くない。きっと集金額の方が少ないはずだ。
それでもいわば監視されていると思わせるような状況を作れば、小銭がより多く入ってくるということになる。
どうだろう。無人販売所を所有する方には少しは参考になっただろうか。
このメモを読んでもし所有者のなかに不安になられた方がおられたら次のことを実行されたらどうだろうか。
大学の実験のように「目」の図案をどこかにおくこともいいだろうが、太った馬を販売所の近くにつないでおくのも一案だ。
スタッフ「というと」
院長 「来訪者は馬の目を見る」
スタッフ「ふむふむ」
院長 「太った馬の目は訴えているはずだ」
スタッフ「なんて?」
院長 「馬太目、って」
スタッフ「…駄目オチですね」
おおっ!漢字を分解してまでダジャレが入っている!
凄い高度なテクだ!効果は疑問だが・・・・(笑)
牛の角を刀と刀で八つにするのを分解というのですか。