統計手法で仮説検定というものがある。たとえば「ビールは風邪に効果がない」か確かめるのに、「ビールは風邪に効果がある」という仮説を立てて論理を進めるのだ。もしこの仮説、つまり効果があるはずなのに風邪が治るということがめったにしか起こらないということが分かれば「ビールは風邪に効果がある」という仮説はなんだか違うぞということになり、捨てられる。つまり効果がないということになるのだ。
確かめたい仮説を対立仮説、捨てるために立てる仮説を帰無仮説というのだが、なぜこんな面倒なことをしているのかの説明によく出てくるのがカラス。
「すべてのカラスは黒い」ということを証明するためには、すべてのカラスが黒いことを示さなければならないので、よほど暇な院長を除いては事実上、不可能である。しかし、そうではないことを示すには、白いカラスを一羽見つけるだけでいい、という理屈を用いているのだ。
え、よく理解できない?うーん、ではこの例はどうだろう。
「核を放棄する」という仮説を対立仮説とすると「核を放棄しない」という仮説のもとでは、めったに起こらないこと、たとえば核施設を破壊などのことが起こっているかを検証するのだ。この場合、この仮説のことをキム仮説というのだが、ますます分からなくなってきたことは否めない気がしないわけでもないような気がする。