PET(ペット)という新しい医療検査機器がもてはやされているというニュースより。
このPET、とても小さな癌を発見できるということで、検診なんかに利用されている。ただし保険が利かず十万円相当の自腹を切らなくてはならない。
そんな大金があれば、血圧計を買うとかジムに通って健康維持を図るとか、あるいは小さな癌を焼き尽くす勢いでアルコール摂取した方がいいと考える向きもいるだろうけど、サマージャンボでも当たれば一度は受けてみてもいいかも。
で、この検査の原理がまた難しい。
ということで小学年でも分かるくらいに親切丁寧に説明してみようと思う。きっと今日のメモを読めば、PETについて人に説明できるほどの実力がつくものと信じている。ただし説明してる当の本人が小学生ぐらいの知識しかない、ということは片時も忘れることのないように。
まずCTなんかと同様、放射線を利用する検査ということ。
クジラがほ乳類だと知ったときの歓びを思い出してほしい。コウモリが鳥じゃないということを知ったときの感激の記憶をいま再びたどってほしい。一瞬のことだったかもしれないけど、その歓びや驚きは姿を変えて、繰り返されたはずだ。
「坊や、クジラは魚じゃないんだよ。おじさんエライでしょ」、「お嬢ちゃん、コウモリは鳥だと思ってたんでしょ。おバカさんね、ホホホ」なんて具合にね。
ということでお酒の席などでPETの話題がでれば、「放射線を使う検査なんだよ」ぐらいいっとけば、たちまち周囲から尊敬の眼差しを受けること、間違いなし。ただし小学生相手だったら、「クジラはどうして魚じゃないの」なんて質問するふとどきなやつがいれば、頭を押しつけるようになでてあげれば静かになろうけど、宴会の場ではそういう輩がいないことを切に願わなければならないので注意を要する。
次のポイントはこう。
CTでは外から放射線を当てる。でもね、PETは外から来るんじゃなくて、内から出るんだよ、ということ。グリム童話の「幸せの青い鳥」の話のように、大切なものは、外にではなく内にあったというわけね。
もちろん家の外の居酒屋の止まり木にも、青い鳥がいるのをなんども見かけたけど、癌で命を落とす前に、別のことで絶命するかもしれないのでこれ以上、言及はしないでおく。
最後のキーワードは、陽電子。そもそもPETという名前の最初の文字、Pは陽電子を意味するPositoronのPなのね。これも、サッと流さないと、周囲の者にいろいろと感づかれてしまう。もしPositoronとはなにかと聞かれたら、NHKのNは日本のNだということを例として上げるのも有効な防御手段かもしれない。
で、この陽電子が普通の電子に出会うとどうなるか。陽気な電子だから「よう、電子」と挨拶するかどうかは分からない。ただ、分かっているのは、普通の電子に出会うとはじけ飛んでしまうということ。傷つきやすい院長の心がはじけたときには涙が出るんだけど、この陽電子の場合ははじけると放射能が出る。それも外から当てるより効率よく、ね。
ということで、陽電子いっぱいのものを身体の中に入れて、出てくる放射線を測定すると、小さな癌も分かるというわけ。
以上、PETの説明をしてみた。いかがだっただろうか。ほとんどの人が理解いただけたと思う。
……たぶん……ぺっと、いや、きっと。