「がん3%は診断被ばく」というニュースが先日、マスコミをにぎわしたので、放射線を出す立場にあるものとして一言、メモを。
これは英国の研究者の報告で、いろんな仮説で計算されているようだから数値そのものには、今後議論があるやも。ただ、他の国の推定値が1%を切るのに、ずば抜けて日本が高いということは注目されるのね。
どうやらCTがその原因の一翼を担ってるようで、「日本は人口百万人あたりの普及台数が64台で、二位のスイス(26台)を引き離し世界一多い」(読売)状況が関係しているらしい。
CTの機械は、家一件買えるぐらいの値段。だから、マスコミは疑問符をつけながらもここぞとばかりに、”投資回収のための過剰な検査”と書きたててる。
確かにそんなことをやってる病院もあるかもしれないし、そんなトコの肩を持つ気はこれっぽちもない。でも、現場にいるものの感覚としては、明らかに恩恵の方が大という印象があるのよね。例えばCTが出てくるまでの脳外科の手術なんて、普通のレントゲン写真見ながら、いわばカンで頭蓋骨を開けてたりしてたわけで。
CTで救われた命というのが、どれくらいあるかは計算できないかもしれないけど、きっとこの被爆のデメリットを優に上回っているんじゃなかろうか。
もちろん、過剰診療をしている医療機関への警告の意味は間違いなくある。そうじゃなくても放射線は浴びないにこしたことはないし、放射線を用いる検査に代わるものがあればそれを優先させるべきだと改めて認識させられた話題だけど、その利点も冷静に見なくてはいけないんじゃないかと思うわけで。
スタッフ「ものの両面をみなさいってことですね」
院長 「そうそう」
スタッフ「院長の診療もそうですか」
院長 「そうそう」
スタッフ「ヘボい診療をするときもあれば…」
院長 「そうそう」
スタッフ「……院長のは、片面だけですね」
院長 「ウソウソ」