こだわり

どうでもいいことにこだわる。こだわり始めると落ち着かなくなり、空けたビールの本数が分からなくなるほどだ。

この問題もそうだ。

診療行為は保険者に請求書を送ることで換金される。院長のようなクリニックはそれで極貧に陥るのを免れているのだが、いまどきの請求書は電子化されている。

そのデータはコンマで区切られたテキストで構成され、先頭には必ずなにかを意味する二つの英文字語が付与される。
ざっくりと、こんな具合だ。

HO,1111,2222,,,,,
SY,2720004,,,,,,
IY,,,610421321,,,,,
SI,,,160072210,,,,,

翻訳するとこうなる。

保険者 1111 2222
傷病名 高コレステロール血症 
医薬品 アダラートCR錠20mg
診療行為 超音波 

先頭のHO、SY、IY、SI の記号はそれぞれ保険者、傷病名、医薬品、診療行為を意味しており、そのアルファベットは日本語をローマ字表記した最初の二文字であるのは明白だ。

ところが2年ほど前に保険者番号に枝番号という様式が導入されるとちょっと事態が異なる。

”枝番”だから ED でいいと思うのだが、SN の二文字が付与されたのだ。
きっと serial number の略だと思うのだが、いずれにしても命名ルールに変更が行われたのは明らかだ。

レセプトの電子化事業はある意味、国家的なもので、そこでのルールは相当に厳密なはずだ。

なにが起こったのだろう。どうでもいいことかもしれないが、気になって仕方がない。

チームリーダーが外人さんになったのだろうか。ED という言葉にアレルギーを示すスタッフから抗議されたのだろうか。それとも抽象的な国家の概念とは裏腹に、実際に人が作り上げる”国家的”ルールのゆるさや抜け落ちなのだろうか。

この間、考え続けた。そして思いついたアイデアをジョークに結び付けようとしたのだが、いまだオチ付かないままである。