今日の患者さんとの世間話から。ゲーテ曰く”財布が軽ければ心は重い”そうな。えー知らなかった。患者さんに失礼ながらさっそく調べたら、なるほどヒットする。でも、えらい哲学者がえらく俗っぽいこというなと疑問をいだく。
でさらに調べると、どうやらこの詩の誤訳からきているようだ。
ドイツ語は苦手なのでそのサイトに対比されている英語を紹介すると、
”With an empty purse and a heavy heart
I lugged myself through the dreary days.”
訳すると”困窮し心も疲れ切って、つらい日々を乗り越えた”となる。つまり並列で列挙されているだけで、ふたつの間には深い関連性はないのだ。
これはよく指摘される”健康な身体に健全な精神が宿る”と同じロジックの間違いだろう。ただしくは”健康な身体と健全な精神”ぐらいの意味しかない。
そもそも心が軽くなるかどうかは、財布のひもを握っているカミさんの御心しだいなのだ。
だから”カミさんと財布のヒモ”といえば、この場合は単にふたつの言葉を列挙しているだけでなく、そこにはきわめて深い関連がある格言となる。