年末年始はパリで過ごす予定だったが、航空券とホテル予約とパスポート取得を忘れていたため四国の徳島で過ごすことになった。
お目当ては大塚国際美術館。
ルーブル美術館の前に立った時の感動を思い出そうとしたが、よく考えると行ったことがないので思い出せない。だがきっと同じような感動が走ることだろうと想像される、立派な美術館だ。所蔵品数は1000点を優に超す数で、すべてが陶板に描かれたレプリカだ。
宗教的な背景をあまり理解してないものとしてはルネサンス以降の絵画に目が行ってしまう。ネットで調べるとそうした絵画には、新古典主義、ロマン主義、写実主義、印象派、象徴主義などといった流派があるようだが、どの絵がそれに該当するかなど、とんと理解できない。それでも絵に触れていると、なんだか文化人になったような気がしてとても楽しい。画材のことなどわかりもしないのに、絵に顔を近づけてみたりして、にわかキュレーターの2日間だった。
なかでも下の<犬と水差しを持つ田舎娘>という画題の絵がとても気に入った。確かに「真珠の耳飾りの少女」の方がやわらかな頬を有し、「ヒマワリ」の水差しの方が魅力的な存在感を表現しているのだろう。
だがどういうわけか、この絵が一番気に入った。
なぜだろうと疑問を抱いていたまま、美術館をあとにしたのだが、いまこうしてメモしていると、思い当たることがひとつある。
わたしは犬派だったのだ。