昨日大量-ほんとうに何キロという量だった-の海の幸が手に入ったからと、近くの先生から食事に招かれる。そのとき食卓に並んでいた一つに”にし貝”というのがあった。15cmから20cm大の巻き貝。煮てあるのだが、ちょうど火を通したさざえのような舌触りで、初めて食した食材だったけど、噛めば噛むほど甘みが出て美味だった。
で、思い出したこと。味覚分布で苦みが奥のほうに分布しているのはなぜだろうってこと。これはかなりまずいような気がする。というのはからだにとって毒なるものは、おおおうにして苦いと思うわけで。口に入れて喉の奥の方で、こりゃ食べちゃいけないものだったのかと判断するのは、やっぱりまずいよなぁ。
看護学校で教えているんだけど、資格試験の過去問で「食道で一番狭いところは」というのがある。食道には喉に近いところと、真ん中より少し上と、ずーと下の方の3ヶ所が狭くなっているだけど、もちろん答えは一番上の喉に近いところ。だって食べたのが、途中で止まったり一番下でひっかかたりするとまずいよね、てなぐあいに話してるんだけど。
それと一緒。舌の先端で食べていいのかどうかをまず判断して、それから送りこんでいくというのが、順当な手続きというか、それをできなかったのは、滅んでいったのじゃなかろうか。
それとも舌の先端は甘みを感じるようだから、昔は危険なものには、甘味のあるものが多かったのだろうか。
でもね、小さいときは、いたずらでなめたビールをとても苦く感じたのに、いまではおいしい、おいしいと喉の奥へと流し込んでいるのを考えると、味覚なんてのはいかようにも変わるし、その分布なんてのは生存にとって、どうでもいいのかもしれないね。
舌がアルコール漬けで、にし貝のようになった夜でした。