ゴキブリの記憶は朝、悪く、夕刻になるとよくなるという。米国の研究者が調べたものだ。
砂糖水をゴキブリは好むらしい。その砂糖水にゴキブリが嫌いなペパーミントを混ぜる。朝と夕、別々にこの砂糖水を経験させ、どれくらい覚えているか調べたところ、朝に経験するとほとんど学習できなかったが、夜に経験させると数日記憶できたという。
生物時計で昆虫の学習能力がコントロールされていることを示す初めての証拠だということだ。
業界ではこの発見はきっとすばらしいことなのだろう。だがいずれにしても研究者はひとつ見落としていることがある。
ゴキブリの記憶というのは数日どころか何十年にもわたって続くものなのだ。
学生の頃、ジャズ喫茶でウェイターのバイトをしていたことがある。日にちが変わる頃仕事を終え、帰りに吉NO屋に入ったときのことだ。
単一メニューの丼を注文し、おかずにとガラスケースにある小皿に盛った総菜を適当に選んだ。客はほかにおらず、丼はすぐに運ばれてきた。早速箸を進めていると、半分ほど食した総菜の小皿になにやら黒いものが混じっているではないか。
よく見るとなにかの羽だ。野菜と一緒に漬かっていたので生の輝きは失われ、かつ一枚だけだが、間違いなくあの黒光りする虫の羽なのだ。
カウンターのなかにいる若い店員を呼び確認を求めると、謝罪の弁とともに総菜を新しいものに取り替えた。
もちろん怒鳴りつけることも可能だった。だがやさしい心と薄っぺらな財布を持った若者の心は店員の次の提案に揺さぶられる。
「丼代はサービスです」
さすがに総菜には箸を延ばすことはできず、黙って丼だけを食しながら考えた。
店員もきっと動揺しているに違いない。彼がやったことではないのは明らかだが、それを晒してしまった責任を迫られるかも知れない。彼のためにも提案を受け入れる方がいいのではないか。
財布も楽になる。さらには己の太っ腹を相手に示すことができるわけだ。
そう考えた若者は結局文句もいわず丼を平らげ、約束通りお代を払わず、最後に「じゃあ」と店員に一言声をかけて吉NO屋を後にした。
あれから四分の1世紀。それほどの月日が流れたにも関わらず、あの夜の己の豪気ブリの記憶は今でも忘れることができないでいる。 というかきっちりトラウマになっている。
ネタ元
Cockroaches Are Morons In The Morning, Geniuses In The Evening
キャー!ゴキブリ!
などと叫ぶほど乙女ではありませんが、
ゴキの捕獲は難しいです・・・あの気配を察する能力と逃走する早さには脱帽
私は動物愛護精神に法って、潰したくないので生きたまま捕獲して脱走できないようにがんじがらめにしてゴミ箱へ・・・
ゴキの記憶は数日でも院長の記憶は・・・今でも?
ゴキブリにもビックリですけどそんな昔から”吉NO屋”があったことにビックリです!!
味は変わらないのかな~。昔から学生の味方なんですね。
そりゃトラウマになっちゃいますよね~。
北海道にゴキブリが居ないというのが自慢ですが、
札幌の友達が札幌の地下街には居るんだぜ・・
と自慢しておりました。←自慢になるのか?
うめさん>
乙女を卒業し、”夫め”と憎しみを持つようになる女性もたくさんいるようです…なんのこっちゃ。
YX3さん>
なんだかんだいっても”吉NO屋”の味は好きですね。安いし。
tamakitiさん>
へぇー地下街にいるんですか。豆チキシ、頂戴いたしました。