人体の細胞数

人体の細胞数はおおよそ60兆である。この数字、だれが調べたのか知らないが、と前置きし看護学校で生徒を前に口にした数字だ。

あらためて気になりその根拠をネットでを調べると、源流らしきものにたどり着いた。なんと大学入試の問題に出ているのだ。(https://tsuwamono.kenshinkan.net/way/pdf/14biology_02.pdf)

まずは体重1kg あたりの細胞数を計算し、水と同じ比重として考え、ここで1個の細胞を一片が 10μm の立方体として計算すると、細胞 1kg に含まれる細胞数はおおよそ1000 個となり、従って,60kg のヒトには,6×1000 個の細胞、すなわち60 兆個が含まれている、というのがその解答。

ちょっと待って。いくらなんでも”1個の細胞を一片が 10μm の立方体”というのは言い過ぎではないか?
細胞はそんなサンプルでくくれるようなものではなく、これってある意味むちゃくちゃな思考回路だと思う。

正確な数を把握することは、たとえば抗がん剤の投与量に関係するなど重要なことであれば、議論を深める必要があるし、そのときはきっとしかるべき場で喧々諤々の議論がなされるだろう。ただ現状でその数を述べるのは一種の余興以上のものではない。
こんな計算をしてみると、こんなに大きな数になるんだよ、ぐらいの啓蒙で十分だ。

もう、この数を金科玉条のごとく使うのはやめよう。この60兆という数は、おおよそ、ではなく、もお、よそう、の数だと再認識した。(なお37兆説もあるようだけど、また機会があれば)