ケンカ

 昨日「とどろき会」という囲碁会からの案内のはがきが来た。大学の同窓の医師たちが年に二回ほど博多駅前にある日本棋院の九州支部に集まり腕を競うんだけど、ボクも末席に名を連ねている。
 今月の日曜にあり、都合が少し悪いかもしれないなぁ、でも参加したいなぁってなことを考えていると、ふと思い出したことがあるので、今日のメモはそれ。


 三年前のこと。その九州支部で県医師会の囲碁好きたちと棋院の県婦人部との親善囲碁会があったのね。そこである高齢のご婦人の方と打つ機会がありまして。
 普通段の数が多い方が強いんだけど、相手の方はボクより少し段位が低い方。で、ハンディのため何目か置いていただいてやったわけ。
 囲碁というゲームでおもしろ点はいろいろあるけれど、ひとつは相手の性格がよく分かること。もちろんゲーム上でのことで、それが日常生活に出ているとはつゆ思わないけれど、たとえば欲張りな性格とかおとなしい性格とかずるい性格とか品のいい性格とか。
 で、そのご婦人はといえばものすごく攻撃的な性格だったのね。ホントびっくりするほど盤のあちらこちらでケンカを売ってこられる。でもなんとかふんばってボクが勝たしてもらったんだけど、終わった後、碁石を片づけながらボクがこういったのね。
「お強いですね」
 お世辞でもなんでもなく自然に口をついて出たような感じだったんだけど。でもね、そのご婦人の返事はこう。
「あなたが勝ったじゃないですか」
 ハンディというものだけに限っていえば、例えば一年生には下駄をはかせるという条件で、中学三年と一年生に同じ問題が出されるようなもの。で、採点したら多少三年生がよかったけど、一年生も結構がんばってそれほどの差はなかったとき、三年生はその下級生に「勉強しているね」っていって感心してもおかしくないでしょ。
 そのとき「あなたが勝ったじゃないですか」はちょっと返答としてはおかしいよね。
 よほど負けず嫌いのお人だったのかなぁ。日常生活の買い物なんかでも、
「あんた、もっと負けなさいよ」
 なんて店員にケンカ売りまくってんのかしらね。

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