お金

 イタリアの認知科学の研究者がおもしろい実験を行った。サルにお金の価値が分かるのか、そしてそれを使ってより多くのエサにありつくことができるのかを明らかにする実験だ。
 実験には10頭のサルたちが参加した。まず彼らは全員、青色の券ではピーナツを1個しかもらえないが、黄色の券ではピーナツを3個もらえることを学習できた。
 もしどちらかを選べといわれたら、喜んで黄色の券を選ぶだろう。
 だがたとえば、黄色の券1枚と青色の券5枚のどちらを選ぶか迫られたら彼らはどうするのだろうか、そう考えた研究者たちはやってみた。


 2頭のサルは色に関わらず、枚数の多い方を選んだ。ほかの4頭は枚数に関係なく黄券を選んだ。
 お馬鹿なサルたちの気持ちがよく分かる。銘柄に関わらず本数の多いビールを選ぶものとしては非常に共感できる部分がある。だがここはサルの実験だ。先へ進もう。
 
 残りの4頭は違ったのだ。なんと自分の分け前が一番多くなるような選択を行った。1枚の黄券より4枚の青券を、2枚の青券より1枚の黄券を選んだという。
 こうした選択は算数をしていることではなく、多い、少ないを判断している結果らしい。
 大小の区別をつける能力というのは多くの動物にとって重要なことで、たとえばどちらの木が茂っているか、どちらの地域が仲間が多く敵が少ないかなどの判断をするときに必要なのだとネタ元で述べられている。
 さらに複雑な、たとえば6個の価値がある黄券と5個の価値がある青券などといった条件にすると相当に混乱するとも述べられてはいるものの、4頭の賢明なサルたちはやはりすばらしいと感じざるをえない。
 この記事を読んでふと思い出したのが、宮崎の幸島のサルの芋洗い行動だ。
 ご存じない方は「幸島(こうじま)」「芋洗い」ぐらいのキーワード検索でごまんとヒットするだろうからそちらを見てもらえばいいのだが、一言でいうとそこのサルが始めた海水をつけて芋を食べる習慣がどういうわけか全国のサルに広まっていったという現象だ。
 もし、券を用いた賢明な4頭の行為がサルたちの間に広がっていけば、これはもうお金そのものではないだろうか。そのときのためにこの券に名前をつけておきたい。



ネタ元
Monkeys learn to do arithmetic for peanuts(ビデオがあるよ)

“お金” への3件の返信

  1. クスッと三回笑ってもらったら、サンクス←サル以下のコメント

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