open windows 理論

wind
 医療関係者が手がけている個人サイトはたくさんあるが、このサイトのように医学を真正面から見つめているサイトはそう多くない。今日も医療サイトをめぐりながら、医学を真正面から見るとはどうこうことなのか考えていたら、ふと思い出したサイトがあった。


 「内科開業医のお勉強日記」というサイトだ。海外の医学論文などを分かりやすくまとめて紹介してあり、ときどきおじゃまして日記を盗み見させてもらっている。
 その10月30日の日記に「アスリートは激しい運動で感染症増加(open windows theory)・趣味程度なら心配いらない」というものがある。
 アスリートは激しい運動をすると感染症にかかりやすくなるという理論があるらしい。それを open windows 理論という。一言でいえば激しい運動のあとは免疫力が落ちる期間があり、そのときに”開いた窓から”忍び込むように細菌やウィルスが身体に入ってくるというのだ。
 それを素人のマラソンランナーを対象に検証したら、否定的な結果が出たという研究が紹介されている。
 ストックホルム・マラソンに参加した1700名近くのランナーを対象に、アンケートでマラソン前後の感染症をチェックしたところ、走る前に感染症にかかっていた人はマラソン後も感染症にかかりやすいという結果が出たが、そうじゃない健康な人ではマラソン後、とくに感染症にかかりやすいということではないことが分かった。
 正直にいおう。こんな理論は知らなかった。おまけにもう一つ正直にいおう。”内科開業医のお勉強日記”こそ真正面から医学に向き合っているサイトだ。そこの先生がこの理論をご存じなかったので、安心して”知らない”とメモで公言することができたのだ。もしそうでなかったら、知ったかぶりをするつもりだった。open windows理論のおかげで心の窓も解き放つことができた。
 さてこの理論だが、アスリートは激しく運動すると本当に感染症にかかりやすくなるのだろうか。
院長  「経験的には違うような気がする」
スタッフ「というと」
院長  「運動をバシバシやってると多毛症になるのでは」
スタッフ「なぜですか」
院長  「ケガ多くなる」
スタッフ「…医学、真横から見てるでしょ」

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