漢字の奇にはいくつかの意味がある。”思いがけない”という用い方ではたとえば「奇襲」だ。”半端な”という意味では「奇数」があり、そして”めずらしい”を意図するときの言葉の一つに「奇病」がある。
その奇病が一ヶ月前から米国で広がっているという。Morgellons病という病気だ。
どう気妙か説明しよう。
皮膚の下に虫が這うようなむずむず感があり、やがて傷ができる。それはゆっくりと治癒するのだが、その傷口から青と白のスパゲティほどの太さの繊維状のものがにじみ出てくるという。それを無理に引っ張りだそうとすると全身に激痛が走る。
米国の皮膚科雑誌に症例が報告されたものだ。
もう少しネタ元にある病状の紹介をしよう。
なかには患者の犬や猫にも同じような症状を有することがある。
患者は倦怠感を訴え、頭に霧がかかったような感じになって思考を妨げる。一度かかると一生わずらうことになり、自然に治癒した症例は報告されていない。
その報告者はMorgellons研究財団という非営利組織のメンバーでその財団のサイトには2006年5月現在、米国の50州とカナダ、オーストラリア、オランダなど15の国から寄せられた2000以上の報告がなされているのだ。
病気も奇妙だがもっと奇妙なことがある。それはその財団以外の臨床報告がないということだ。
このMorgellons病を従来から知られている精神病と同じだと考える皮膚科の医師もいる。
この精神病の患者は皮膚の下に寄生虫がはいずり回っていると訴え、ときに自傷癖を有することもある。彼らは毛髪や衣服の繊維や皮膚を医師に提出することがあり、またときに寄生虫が入っているとするマッチ箱を持ってくることもあるという。もちろんなかにはなにも入ってはいない。
さてさてこのMorgellons病の実態は?ってなことがネタ元で述べられている。
どっからどう見ても症例報告がその財団以外からないというのは、説得力に欠けるような気がするのだが、それはさておき、もし同じような症状の患者が来たら診立てはできるだろうか。
スタッフ「患者になんと説明するんですか」
院長 「カキカ奇病」
スタッフ「…カキカキ病」
院長 「すばらしいだろ」
スタッフ「思いがけなく、中途半端で、めずらしいという意味で奇病名です」
「カキカ奇病」とは私のブログみたいなものか。
一週間で復活しますので、それまで奇病もちょっとだけ休みです。