再生歯科

 犬を使った実験で、あごの骨の細胞から完全な歯を再生することに初めて成功したらしい。骨から「歯胚(しはい)」という、いわば歯の”タネ”を取りだし、さらにその中にある、”タネの元”を取り出して、柔らかいものに包んで骨に戻し、しばらく観察すると、歯が育ってきたという。
 なんだか小学生の夏休みにやった、アサガオの観察日記みたいだけど、きっとこの再生歯、まだニョキニョキってな状態じゃなくなんとなく歯の塊なんだろうね。
 ボクも幼い頃の暴食と大人になってからの暴飲がたたって、歯の状態はかなりきびしい。そんな、あるいは入れ歯まであまり余裕がなさそうな歯にとっては、とても希望あふれる話なわけで。


 で、思い出したこと。よく近所の歯医者さんにお世話になっているんだけど、何ヶ月か前、ボクの歯の治療が終わると、興味あるものがあるからとその歯医者さん、奥からなにやら取り出してきたのね。
 見ると、上下の顎に似せた石膏にずらりと並んだ歯。全部一人の患者さんの歯という。総入れ歯の人だっているわけだから、その都度、抜けた歯を収集してればそうした造形品もできるわけだけど、聞けば、なんと一度に抜けたというじゃない。
 40台の人で、なんだか最近、歯がぐらぐらしてるからと治療に来られたそうな。で、診てると、全部、それも上下ともバラバラと抜け落ちたという。歯肉にぶら下がっていただけの状態で、歯周病をながーく患った結果らしい。
 再生が可能になるかもしれないっていっても、こんな事態にならないよう、やはり日頃の歯の健康管理は大切だなぁーって反省したわけで。
院長  「歯が抜けたんですけど、これをまた植えつけるってことはできないんですか」
研究者 「現在の再生歯科では、プラモみたいにくっつけることはできません」
院長  「せっかくきちんと抜けたんだから、なんとかなりませんか」
研究者 「いつかそんなことができるようになるまで、紙にでも包んでおいてください」
院長  「どんな紙でもいいですか」
研究者 「そうですね、再生シか、な」

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。