マディソン郡の橋

映画好きの年をめした患者のTさんに、最近おもしろい映画はあったかと訊ねたら、Tさんが持ってきてくれたのが、題のDVD、
昨夜、観たので感想をメモしておく。


ひとことでいうと、同年代の夫と反抗期を迎えた男女二人の子供をいだく40から50代とおぼしき主婦に訪れた恋愛話。

人の思考は日常の生活とべったりとノリで貼り付けられている。そのノリをなめると、しがら味の味がするはずだ。
メリル・ストリープが演じるその主婦もいなかの生活とその思考のなかに埋没していた。
だが主婦に4日間、ほかの家族が旅に出て、ひとりになるというちょっとした日常の変化が訪れる。

そこに、クリントイーストウッド演じるカメラマンが夕日のあんまんを持って現れる。ナショナルジオグラフィックのカメラマンで、屋根のある橋を撮影しているという設定だ。

カメラマンの持つあんまんは主婦の目に、ともおいしいそうに映るが、実は毒まんじゅう。あっというまにしがら味のノリを溶かしてしまうのだった。

そこから、氷山にぶつかり船が沈まなくてもつかのまの大恋愛は表現できるというシーンが続き、いよいよ家族が帰ってくる段になり、主婦はしがら味の味を思い出す。

そしてカメラマンが乗ったクルマを、夫に気づかれることなく、こう貝の入った味噌汁の味をかみしめながら見送るのであった。

まぁ、こんな味わい深い映画で、スパイスが効き過ぎているせいか、目からぽろぽろ涙が出たのでありました。

(実は、若いころ、本を読んだことがあり、そこそこ感激した記憶があるけど、ほとんど忘れてました。Tさん、ありがとうございました。
ちなみに「夕日のあんまん」が理解できるのはどれくらいの年代までなんだろう、というかどの年代でも理解不能だな、メモしている本人も分からないし)