映画好き

6月号の日経サイエンスにコロナの特集がある。そのなかのひとつに「変異株を追跡」と題したメーガン.スカデラリというジャーナリストのそれほど長くない記事があった。

総論と各論に分かれ、各論では1)オミクロン株は免疫系の目印となる自身の蛋白質を変え、2)蛋白質を変えることで人の細胞に少しひっつきにくくなったのをうまくやりくりし、3)細胞のなかに入る手段も正面突破ではなく裏口からこっそりと入っていく、4)こんな風に人に感染しやすくなった株だが人の免疫系のインターフェロンに少し弱くなっていて、インターフェロンの反応が上気道より肺の方が強いので、肺炎にはなりにくい、などが述べられていた。

彼女はよほど映画好きの方らしく、いくつかの映画を用いた比喩がおもしろい。

総論では「以前のデルタ株が力づくの”超人ハルク型”だとすればオミクロン株は仮面をかぶって超スピードで動く邪悪な”フラッシュ型”だ」という表現があり、また各論では、蛋白質を変えることによって「ミッションインポッシブルに出てくるようなゴムマスクで完全に顔を覆っている」というたとえを用いている。

正直、超人ハルクはわかるが、フラッシュはおぼろげ、ミッションインポッシブルに出てくるようなゴムマスクってなんだっけ? 状態。

米国の方のようで、まぁあちらの国ではこれでガッツリ通じるのだろう。

記事は今後の変異も予断を許さないとのしめくくりだが、どうせなら人類は負けないぞとの気持ちを込めて、May the Force be with you とでもいって欲しかったなぁ。